- 「先にやらせて」と順番を抜かして遊んでしまう
- 順番を守れずに割り込んでしまう
順番を守れず、周りのお友だちから嫌われないか、心配に思う事もあるのではないでしょうか?
順番を守るという行為は、集団生活を過ごすうえで、重要なソーシャルスキルの一つなので、なるべく身につさせてあげて、お子さん自身が困らないようにしてあげたいですよね。
順番を守れないのは、実はしつけのせいでも、お子さんがわざとやっているわけでもない場合がほとんどなんです。
そこで今回は、お子さんが①順番を守るのが苦手な理由と、②守れなかった時の対処法、③気をつけたい関わり、④順番を守れるようになっていくためのコツをご紹介します。
この記事からはこんなことが分かります
- 原因に合わせた周囲の対応の仕方
- 遊びを使って楽しく順番を守ることを習慣にしていく方法
- 悪化させるかもしれない気をつけたい関わり
- 家や園、学校といった場面別での対処法
ぜひ参考にしてみてください。
お子さんが順番を守れない事にお悩みのお父さん・お母さんの少しでもお役に立てればと思っております。もし、いいなと思えたら、今回の記事をSNS等で広めていただけると嬉しいです。
- アサヒです。臨床心理士・公認心理師です。
- 子育て中のお父さん・お母さんを心から尊敬しています。
- 子育て相談&発達障害支援を10年間続けています。
- 年間約1500件以上の子育て支援・相談をしています。
- 教師・保育士・小児の作業療法士がいる子育て支援一家で生活してます。
- 私自身、2人の子どもを毎日マインドフルに子育てしています。
- さまざまな専門家(小児科医・児童精神科医・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等)がいる職場で、働いているので、心理学に基づいた専門的なアプローチだけでなく、常に目の前のお子さんに合わせた多様な関り・アプローチを実践しています。
- お子さんにぴったり合った子育てをみつけてもらいたくて発信しています。
お子さんが順番を守れない4つの理由
1:状況やルールが理解できていない
〇 気になったものに意識がもっていかれると周囲の状況が見えなくなっています
例①:ブランコがやりたいとなると、「ブランコ」に焦点があって、周りの子が並んでいる事に気づかない、見えていない可能性があります。
〇 滑り台やブランコで遊ぶ時に、並ぶ意味がまだ分かっていない場合もあります
例②:列になっている時は、自分の好きなように遊べるのではなく、並ばないといけないが分からない可能性があります。いわゆるまだ暗黙の了解がわかっていない状態です。
2:ルールを忘れてしまう
一度にたくさんの説明を覚えておくのが苦手なお子さん場合、一度覚えたルールをずっと覚えておくのが難しく、順番にやることを忘れてしまいやすいです。
3:見通しが持てない
自分の番がまたくるのか分からないとお子さんが不安になって守れない場合もあります。
大人も電車が予定の時間になってもいつまでも来ないとイライラしますよね。
これと似たような現象がお子さんが順番を守れない時にあります。
- 次はいつ自分の番になるんだろう?
- まだできるよね?
見通しの持てない不安が、待っている間に蓄積されて、焦りやイライラに変わっていき結果として、割り込みをしている場合があります。
4:気持ちのコントロールが苦手
→小さいお子さんはまだ気持ちをコントロールするのが苦手なため、「やりたい」と思うと気持ちが先に動いてしまいやすいです。
→「自分はこうしたい!」というこだわりが強く、周りの状況に関係なく、我慢できなくなってしまうお子さんもいます。
順番を守れなかった時の4つの対処法
具体的に教える
→ルールの理解ができない、忘れてしまう、見通しが苦手なお子さんには、具体的に短くはっきりと伝えてあげるのが効果的です。
〇〇ちゃんの後ろに行きます
10数えたら交代です
〇〇ちゃんの後にできます
我慢していたら褒める
→「我慢できたら」ではなく、「我慢できている時」に褒めるのがタイミングとしてはGOODです。
→お子さんが少しずつでもその場で待てるようになったら褒めてあげることで、
お子さんは「これでいいんだ」と順番を守れて心地よい満足感を味わえます。
→達成感を感じて自身がつけば、「順番を守る行動」を繰り返せるようになっていきやすいですよ。
気持ちを汲み取る
→順番の理解がまだ難しい場合はただ叱っても効果はないです
- 「早く遊びたかったんだね」
- 「もっとやりたいんだよね」
→気持ちを落ち着けるためにも共感してあげましょう。
相手の気持ちを代弁
→状況の理解ができていない場合、周りの状況に気づいていない可能性があります。
周りや相手も意識できる言葉かけをしてあげましょう
滑り台やりたい子は列に並ぶと出来るんだよ
お友達も遊びたいって言ってるよ
代わってもらえなかったら〇ちゃんも嫌だもんね
気をつけたい関わり
叱ったり責めない
→悪意がない、ルールを忘れた、見通しが持てない場合、いくら叱ってもなんで怒られているのか分からないので、繰り返してしまう&遊びへの意欲がなくなる&パニックになるリスクがあります。
何度も注意する
→ルールが分っていても、自分のこだわりや気持ちのコントロールが苦手な場合は、言葉で注意してもあまり効果がありません。
→言うことを聞くどころか、夢中になっていた遊びを中断されたと思い余計に癇癪を起こす場合があります。
→注意するより、望ましい行動ができるように少しずつ練習していく方が効果的です。
→練習方法は、次章の「見て分かる工夫」を参照してみてください。
順番を守れるようになっていくためのコツ
▽ご家庭での対処
ボードゲームやトランプ
→「一休さん・七五三」や「7並べ」「ババ抜き」等、トランプはオススメです
→順番にカードをめくる・出していけるからです。
「次はママの番」と順番を意識して楽しめやすいのもあります。
特に、気持ちのコントロールが苦手なお子さんの場合は大人と1対1で、勝ち負けに関係なく、まずは順番を守れたらOKにしてあげ、ゲームを楽しむことに重きをおいてあげましょう。
順番を守るためのトレーニングにならないよう、楽しくできたらOKにしてあげましょう。
並んで待つ習慣
→家庭では何かをトレーニングすると言うより、電車やバスに乗るときに列に並んだり、買い物をするときにレジで順番をまったりするような経験も大切です。
→公園でも遊具を使うときに「お買い物の時と同じで順番だよ」で並ぶことのイメージしやすくなるからです。
→繰り返しの中で少しずつ理解していけるようになり習慣が身についていきます。
成長してから順番を守る事を身に付けさせようとすると大変で時間がかかります。小さい頃からの積み重ねが効果的です。
絵本
小さい頃からの積み重ねで言うと絵本で順番について意識づけてあげることはオススメです。
▽保育園や学校での対処
見てわかる工夫
- 滑り台やブランコを待つ場所の印として枠を石灰とかで描いておき、枠をずれていくこと伝えていく。
- 待ち方を実際の場面で直接教えてあげる
- 写真や絵を使って順番があることを説明する
→滑り台で順番を守る「こうやって滑るよ」「順番に滑ります」と言う絵カードや実際の写真を見せる。
ポイント:「実物」→「写真」→「絵」の順番で理解できるようになっていくので、絵やイラストで分からない場合は、実際に順番が分かる目印を作っておくと良いかもしれません。
体のコントロールから
→気持ちのコントロールが苦手なお子さんは、体を思う存分発散させてあげましょう。
→気持ちを我慢してコントロールできるようになるには、体を思うように動かせるようになることが大切だからです。
→そういった意味でサーキット遊びは順番も守れて、体の動かし方も分かるのでオススメです。
順番を守る以外にもソーシャルスキルを学ぶのには以下の本が役立ちました。
ソーシャルスキルの問題を、①自分をコントロールする力の問題、②自尊心の問題、③感覚の偏りの問題、④相手の気持ちを読み取りにくい問題という4側面から解説されています。発達を促しいくために必要な具体的な関わり方も参考になります。
まとめ
今回の記事のまとめです。
順番を守るのが苦手な4つ理由
- 状況やルールが理解できていない
- ルールを忘れてしまう
- 見通しが持てない
- 気持ちのコントロールが苦手
順番を守れなかった時の3つの対処法
- 具体的に教える
- 我慢していたら褒める
- 気持ちを汲み取る
- 相手の気持ちを代弁する
気をつけたい2つの関わり
- 叱ったり責めない
- 何度も注意する
順番を守れるようになっていくためのコツ
ご家庭でのコツ
- ボードゲームやトランプといったゲームで順番の概念を
- 並んで待つ習慣をつけていく
- 絵本
保育園でのコツ
- 見てわかる工夫
- 体のコントロールから サーキット遊び
いかがでしたでしょうか。
お子さんには、お子さんなりの成長や発達があります。得意な事もあれば苦手な事も当然あります。得意を伸ばしつつ、苦手さをサポートしてあげるのが大切です。
得意って何?伸ばし方が分からないと言うお父さん・お母さんは過去の記事も参考にしてみてください
今回の記事で順番を守れるようになるために役立つ本を再度掲示しておきますので、気になった方は参考にしてみてください。
この記事が少しでも読んでくださる方のお役に立てたら嬉しいです。
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最後まで読んで下さりありがとうございました。