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【発語や発音】子どもの言葉の育ちの3つの要素

子どもに寄り添う
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「家の子何回も言ってるのに全然やらないけど、言葉の意味を本当に分かっているのかな?」

「ご飯だよって言えば来るけど、全然自分から”ごはん”って言おうとしないけど大丈夫?」

「話し方がずっと赤ちゃん言葉のままで心配」等と悩まれたことはないでしょうか?

 実はお子さんの言葉が育っていくには、3つの要素があるんです。

 本記事では言葉の育ちを、専門的な言葉で難しく解説するのではなく、分かりやすく、3つの要素を言葉の「受信」、「発信」、「発音」と名付けてそれぞれ解説していこうと思います。

 この記事を最後まで読んでいただくと、それぞれの要素を育てていくための重要な具体的な言葉かけ対応をお伝えしたいと思います。

お子さんの言葉の育ちに悩まされているお父さん・お母さんが明日実践できるような方法を紹介していきますので、参考にしてみて下さい。

少しでもお多くのご家庭の悩みを解決したくて発信しているので、この記事が少しでも役に立つと思ってくだされば、是非SNSでのシェアをよろしくお願いします。

  • アサヒです。臨床心理士・公認心理師です。
  • 子育て相談&発達障害支援を10年間続けています。
  • 年間約1500件以上の子育て支援・相談をしています。
  • 教師・保育士・小児の作業療法士がいる子育て支援一家で生活してます。
  • 私自身、2人の子どもを毎日マインドフルに子育てしています。
  • さまざまな専門家(小児科医・児童精神科医・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等)がいる職場で、働いているので、心理学に基づいた専門的なアプローチだけでなく、常に目の前のお子さんに合わせた多様な関り・アプローチを実践しています。
  • 同じ悩みでもお子さんやご家族のスタイルに合わせた対応をしています。
  • お子さんにぴったり合った子育てをみつけてもらいたくて発信しています。

①言葉の「受信」

 言葉の育ちは、胎児の頃からの始まります。大体ですが24週目くらいで、赤ちゃんは、お母さんの言葉が聞こえているといいます。さらに、お母さんと他の人の声を聞き分ける事ができるようになっているとも言われています。そのくらい早期から言葉の育ちは始まっているなんて驚きですよね。

 そして生まれてからも、「どうしたの?」「お腹すいたね」「気持ちいいね」などと、親や、家族とのやりとりを「受信」し、まわりの人の事を見たり、聞いたり、感じたりするなかで、分かる言葉が増えていくのです。

 お父さん・お母さんの語りかけから、要求や欲求が伝わった事の嬉しさ、分かってくれる人がいるという安心感は心の成長にもつながります。このような親や家族との信頼関係をもとにして、子どもはさまざまな言葉をインプットしていくのです。

具体例:お父さん・お母さんが見ているものに、「ワンワンだね」「ニャンニャンいるね」などと言葉を添えることで、 物事に名前があることを「受信」しやすくなります。

お子さんの仕草も「よいしょ、よいしょ」「イチニ、イチニ」と言葉を添えたり、水遊びで水を流すと「ジャー」とオノマトペ的な言葉を付け加える事で、お子さんは動作(イチニって言っている時は歩くんだ)や、親が言おうとしている事(”ジャー”って言ってるから水遊びかな)を「受信」できるようになり、確かな言葉の獲得につながっていきます。いうなれば、言葉の「受信」が言葉の発達の全ての基礎になるといえます。

②言葉の「発信」

 言葉の「受信」については、「まあそうだよな」と納得してくださる、お父さん・お母さんも多かったのではないでしょうか? 次に、言葉の「発信」についてですが、まわりの人の言葉を「受信」し、さまざまな言葉がインプットされた事で、理解した言葉を「発信」できるようになります。言葉を話すようになったばかりの頃は、まだ「言葉」に頼るだけでは十分に自分の思いを伝えられません。ですので、泣いたり、指をさしたり、首を振ったりと、表情や仕草、行動などを使って、まわりの人に伝えようとします。そして少しずつ、語彙(言えるようになる言葉の数)が増え、言葉で伝えられる事が増えてくると、コミュニケーション手段のメインは言葉での「発信」になっていきます。

 ここで、とても大切な事ですが、言葉の「発信」つまり、「発語」や「会話」には、お子さんの個性によって、当然早いお子さんもいれば、遅いお子さんもいるという事です(個人差は大きいと思います)。

言葉の「発語」には個人差があります。いわゆる育児本の”〇歳までに話せます”をうのみにしすぎないようにしましょう。

言葉の「発信」は個性次第!?

 コミュニケーション手段のメインが言葉になってからであっても、言葉でどんどん自分の思っている事を話していく子どももいれば、逆に人前になると口数が少なくなってしまう子ども、特定の場所でだけ全くしゃべろうとしない子ども、「今何するの?」「次どこ行くの?」などと質問が多い子ども等々、言葉の発信の仕方はお子さん一人ひとりによてさまざまななのです。

 また、「発信」はするのだけど、独り言や自分の知っている情報だけを一方的に話しているので、まわりの人との関わりが広がりにくいお子さんがいます。

 このように、言葉の「発信」には、一人ひとりの個性に合わせてさまざまなタイプがありますが、お父さん・お母さんの大切にしていきたい関わりとして、お子さんの話し方や言葉の使い方にこだわらず、自分の子どもが今話したいと思った内容に親や家族がよく聞いてあげて、理解しようとする行為なのです(ここに尽きると思います!)。

 どうしてなのかと言いますと、お子さんにとっての「発信」は、独り言の場合もありますが、まわりの人に向けて発信している場合がほとんどです。そもそもの前提として、お子さんは何か伝える前に、「この事を伝えたい!」という気持ちがあって発信をします。ですので、お父さん・お母さんに「伝わった(聞いてもらえた)!」という気持ちが通じた、まさしく、”その瞬間”にコミュニケーションをとることに喜びを感じ、もっとまわりの人と言葉でやりとりしてみようという、意欲がもてるようになっていきます。

 そして、その”伝わった!”という達成感こそが、子どもの言葉の育ちにつながっていく一番の「肥料」なのです。

言葉が育ちにくくなる関わり!?

 まわりの人がよく聞いてあげて理解しようとする行為が子どもの発信を育てていくわけですので、子どもの発信にあまり耳を傾けない、内容よりも正しく言うように言い直しをさせる等の行為は、「発信力」を育てていくには、気を付けなければならない行為になるかもしれません(もちろん、全てがすべてお子さんの話を聞くのは難しいので、場面にもよりますが)

 どうして、「発信力」が育ちにくくなっていくのかと言いますと、これは、大人の場合でもおおいに当てはまると思うのですが、例えば、上司に自分のプレゼンをしてもスマホをいじっていて全く聞いてもらえない、ご近所さんに挨拶しても無視される、友人やパートナーに相談しても雑誌やスマホを眺めているばかりで、聞いてもらえている気がしない、上司に相談しても”その言い方じゃ分からない!もっと分かりやすく説明しろ”と言われる。

 このような状況で、相手に一生懸命話そう、自分の事を知ってもらおう、つまり今以上に「発信」をしようと思いますか?答えは皆さん「NO!」ですよね。

「挨拶してくれないなら、もう挨拶(発信)するのはやめよう」「相談(発信)するだけ無駄だよな」「上司に相談(発信)しても怒られるだけだから嫌なんだよな」と言葉で「発信」すること自体に抵抗が生まれますよね(実際はメンタル面もかなり辛いですよね)。

 実は子どもも同じなんです。ですので、お子さんの話す内容全てに耳を傾けるのは、もちろん難しいことなので、そこまで極端ではなくても、一日の中で10-15分からでもよいので、お子さんが、「伝わった!話してよかった!」「聞いてくれた!うれしいなぁ」と思える機会を作ってあげると、子どもは自分の力で「発信力」をつけていけるようになります。

③言葉の「発音」

 「発音」も「発信」同様に、お子さんによって個人差があります。どうしてかというと、言葉の発音は、音を正しく聞き取ったり、音の違いを聞き分けたり、舌や口などの身体的な機能の発達や、首筋の筋肉の発達等、さまざまな機能の発達にともなって身についていくからです。

 言葉で出るようになって間もない小さい頃は、どうしても発音が整わず、聞き取りにくい話し方になってしまいます。これは先の機能がまだ未発達だからなんです。

 お子さんによっては、ある程度の年齢になっても、滑舌があいまいであったり、ひらがなの特定の行(多くはサ行とラ行)が言いにくい、舌足らずな話し方をする場合もあります。

 口やその周囲の機能の発達には個人差があるので、発達をしている最中の子供の時期は、練習をしても発音は整いにくいものです。お父さん・お母さんが正しい発音にこだわろうとするあまり、お子さんに無理強いさせ、言い直しの練習をすると、その子は話すことを嫌いになってしまう可能性があります。

発音を無理に言わせるのは危険です

 「発音」も「発信」の時と同様に、子どもの言葉の育ちでは、まずは発音より、そのお子さんの話したい内容に注目するようにしましょう。

 またお子さんによっては、「吃音(きつおん)」(例:”あ、あ、あ、ありがとう””それで、それで、それで”などと同じ音を繰り返したりする)が目立つ場合があります。その場合も、同様に、「吃音(きつおん)」を直すこと、正しく発音させようとすると、それがまだ発達しきれていないお子さんにとって、発音の練習がかえってストレスとなり、余計に「吃音」が悪化する場合や、話さないようになってしまうリスクまであるのです。ですので、「発音」に関しても、子どもの発達には個人差があることを踏まえたうえで、まずは、「こういうことが言いたかったんだね」「それが楽しかったんだ」等と、お子さんの「伝えたい」気持ちを受け止めるようにしてあげて下さい。そして「伝わった」という喜びを一緒に寄り添ってあげて下さい。

まとめ

 今回は「言葉の育ちの3つの要素(受信・発信・発音)」について解説してきました。とりわけ、言葉の「発信」と「発音」には、個人差があります。今のお子さんのやり方やパターンを尊重し、お子さんが伝えようとしている内容を よく聞いてあげて理解しようとする姿勢が言葉を育てます。

気を付けましょう: 子どもの話に全く耳を傾けない、正しく言い直しをさせる、発音の練習をさせることは、言葉が育ちにくくなってしまいます。

やってみましょう: 1日10分から15分でもいいので、決まった時間に、お子さんと一緒に遊ぶ事で、お子さんの話ややろうとしている事をよく聞いてみてあげましょう。

やってみましょう:  「こういうことが言いたかったんだね」「それが楽しかったんだ」等と、お子さんの伝えたい「気持ち」を受け止めるようにしてあげて下さい。そして「伝わった」という喜びを一緒に寄り添ってあげて下さい。

 言葉の「発信」や「発音」の力を育てる方法については、また別の記事で紹介していこうと思います。

 以上の事が、お子さんの言葉の育ちに困っているお父さん・お母さんの少しでもお役に立てれば幸いです。

最後まで読んで下さりありがとうございました。