- 「一番じゃないと気が済まない」
- 「並ぶ順番も一番じゃないと嫌で、横入りする」
- 「何をするもの自分が一番じゃないと嫌だと怒る」
お子さんが一番にこだわると、家の中ではつい、ゆずってしまう事もありますが、お子さんにとってはどういう対応をすれば良いのか戸惑う事はありませんか?
本記事では、
- お子さんが1番にこだわる3つの理由と、
- かんしゃくになった時の対応6ステップ
- 1番にこだわらなくなる予防的な7つの関わり
以上の3つのポイントについて解説していきます。1番になれなくてもかんしゃくにならないような対応や、かんしゃくが起きた時にどうしたらよいのか、こだわりを減らしていくための関わりについてまとめてありますので、どう対応したらいいんだろうと困っているお父さん・お母さんは是非参考にしてみて下さい。少しでも役に立たった思えたら、今回の記事をSNSで広めていただけると嬉しいです。
- アサヒです。臨床心理士・公認心理師です。
- 子育て相談&発達障害支援を10年間続けています。
- 年間約1500件以上の子育て支援・相談をしています。
- 教師・保育士・作業療法士がいる子育て支援一家で生活してます。
- 私自身、2人の子どもを毎日マインドフルに子育てしています。
- さまざまな専門家(小児科医・児童精神科医・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等)がいる職場で、働いているので、心理学に基づいた専門的なアプローチだけでなく、常に目の前のお子さんに合わせた多様な関り・アプローチを実践しています。
- 同じ悩みでもお子さんやご家族のスタイルに合わせた対応をしています。
- お子さんにぴったり合った子育てをみつけてもらいたくて発信しています。
1番の何にこだわっているのか観察する
まずやっていただきたい事は、お子さんの観察です。一番の何にこだわっているのか知らないと対処ができないからです。順位という順番へのこだわりなのか、早くできる事へのこだわりなのか、同じ一番でもお子さんに一人一人によってこだわるポイントが異なります。まずはお子さんの様子をみて「これにこだわっているのかな」と予測していく事が大切です。学校や保育園の様子も先生から確認してみましょう。
一番にこだわる3つの理由
1位以外をイメージするのが難しい
1番にこだわるお子さんは、リレーやかけっこで1位になった自分はイメージできますが、2位の自分はイメージしにくいんです。ですので、分かりやすい1番にいつもこだわってしまっている場合があります。
また、自分は1位になるもんだと思い込んでいると、その考えが固定しまいます。すると、お子さんからすると、それ以外の結果は、予想外の結果で混乱しやすいし、受け入れられず、かんしゃくになっている可能性が高いです。
- この場合、1位になれずに悔しいという思いもありますが、思った通り・予想通りにならずにイライラしている事が多いです。
過去の体験と考え方
どうして1番がいいのか、お子さん自身でも気が付いていない場合もあります。
- 前に1位になった時に、すごい褒めてもらえて嬉しかったという記憶が残っていて、1位になって褒めてもらおうとしているかもしれません。
- 1番に自分好きな事をしたら、待つイライラがなく楽しく活動に参加できたと記憶が残っていれば、1番前に横入りする事もあります。
- お友だちが1位になって、周りから「すごい」と褒められる所をみていて、みんなに認められるには1位になるしかないと誤解している場合もあります。
自信のない活動かも
- かけっこが遅いから1番にこだわってズルする
- 食べるのが遅いから、給食の配膳の順番を横入りする。
自分の自信のない活動は不安・緊張を抱きやすいです。上手くできるか分からないという、お子さん自身の自信のなさが、「認められたい!」という1番へのこだわりにつながっているお子さんもいます。
また以前書いた別の記事も参考になりますので、是非ご覧ください。
かんしゃくへの対応
- ご飯を一番に食べ終わらないと気が済まないでワーッと叫ぶ
- 折り紙を一番に折らないと怒る
- 一番に体を洗えないとお風呂場で大号泣
さまざまなパターンがありますが、以下の基本的には以下のステップで対応していくと、かんしゃくが鎮まりやすくなります。
勝ち負けにこだわるお子さんの対処とほぼ同様ですが少し異なりますので解説していきます。
ステップ1:クールダウン
その場では注意せず、まずはその場から離れてパニックを鎮める事を最優先にしてあげましょう。
ステップ2:気持ちを汲み取る
- 「1番になりたかったんだよね」
- 「先に食べ終わりたかったんだよね」
- 「1番に折れなくてイライラしたんだね」
お子さんに気持ちに寄り添ってあげましょう。この一言だけでも、「自分の気持ちを分かってくれた」と思えて、かんしゃくが少しおさまりやすくなる事があります。
ステップ3:落ち着いたら励ます
かんしゃくが鎮まった所で、
- 「すごい一生懸命食べていたよ」
- 「頑張って走っていたじゃん」
- 「自分で洗おうと思っていたんだよね」
と励ましてあげましょう。
ステップ4:1番になれない事もあると教える
落ち着いた時にはじめて、お父さん・お母さんの説明が耳に入ります。このタイミングで、
- 勝負事では1番になれない事もある
- 順番もいつも1番ではない事がある
と伝えてあげましょう。
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ステップ5:どうすればいいのか考える
- 「もし負けても次は泣かないでどうしようか考えよう」
- 「一番に洗えない時はどうしようか考えよう」
と、上手くいかなくても気持ちを切り替える方法を一緒に考えてあげましょう
ステップ6:1番になる事よりも、良いところを褒める
- 「ママは綺麗に折り目を合わせて折れる所がすごいと思うなあ」
- 「ちゃんとよく噛んで食べれた事がよかったよ」
- 「早く走ろうと一生懸命に走っていた事が偉い」
等と、褒めてあげましょう。一番ではなくても「自分は頑張った!すごい!」と思えると、あまり一番にこだわらなくなったというお子さんもいました。
※負けや、1番以外の時の、「受け入れ方」を伝えてあげましょう。
「負けても次がある」「一番にはなれなかったけど、一生懸命残さず食べたのはとても偉かった」等、負けた事や1番になれなかった事をポジティブにとらえられるように伝えていく事が重要なポイントです。
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1番へのこだわりを減らす為の予防的な関わり
基本的には「勝ち負けにこだわるお子さん」への予防的な対応は大切です。
詳しくは、そちらの記事で解説してありますが、以下のような関わりになります。
- 活動の前に予告をする
- 少しでも我慢できたら褒める
- 1番になれずにかんしゃくを起こしても、「頑張っていた」「前よりできた」と褒める
- できている事を褒める
本記事では、上記以外の一番へのこだわりが減っていける関わりも紹介します。
1:ルールを変えてみる
- じゃんけんで、「負けた方が勝ち」、
- 食事で「1番きれいに食べれた人がすごーい」
- かけっこや、競争で「2番目の人が勝ち」
等々、ルールを変えてみるのも一つの方法です。そもそも1番にこだわらずに済みますし、気持ちが変わって、最後まで楽しくできるお子さんもいました。
2:別の一番を伝える
早いのが一番だけじゃないですよね。
- 一番丁寧にやっていた、
- 一番最後まで話を聞いていた、
- 一番頑張っていた
等、お父さん・お母さん目線の一番に置き換え褒めてあげましょう。一番って色んな一番がある事も分かります。「早くできなくても一番丁寧にやった」とお子さん自ら話してくれる子もいました。
3:勝負にしない
ボーリングや、輪投げ等でも誰が何個いれたかは数えても、順位はつけないようにすると良いでしょう。ゲームそのものを楽しむ事が大切です。
4:家族で一緒に楽しむ
勝ち負けばかりの遊びでは、負け続けると、出来ない事は最初からやろうとしなくなる事があります。
- パパ・ママと触れ合う
- 一緒に公園で遊ぶ、
- 協力して砂山を作る、
- パズルを完成させる
等々、一緒にやってみて楽める遊びもおススメです。そこで達成感が得られれば、1番になれなくても我慢できる事があります。
5:得意なことで役割を与える
こだわりはある意味お子さん自身が安定するためのものでもあるので、すべて取り上げないようにしてあげましょう。その上でお子さんが得意にしている事は残しておいてあげましょう。
- 「走るの早いから、洗濯物取ってきて」
- 「折り紙が上手だから、クリスマスのかざりつけお願い」
等、一番から、役割に変えてあげる事で、一番ではなくても、周りの人は自分を、
- 「足が速いの認めてくれている」
- 「折り紙が好きな事を分かってくれている」
等と、認めてもらえていると分かる事で、わざわざ1番にこだわらなくてもすむことがあります。
6:1番以外でこだわれる物事に夢中になれる時間を作る
勝負事や、みんなと一緒に行う活動(食事・お風呂等)以外でお子さんがこだわっている物事(パズル・塗り絵・ブロック)に夢中になれ時間を作ってあげましょう。
一日でこだわれるこだわりの総量は変わらないと言われているので、迷惑かけずにこだわれる所でこだわっておくことで、安定しやすいです。
- お風呂に入る前に、夢中になれる塗り絵を沢山やらせたら、一番に洗うこだわりがなくなったというお子さんもいました。
7:練習してお子さんのできる事を増やす
「まあいいか」という練習
→じゃんけんをして負けたら、「まあいいか」と声に出していう練習を繰り返します。
詳しいやり方は、「ライフスキルトレーニング」という本に記載されていますし、他にも1番になりたいというお子さんに有効な練習が沢山書いてあるので、参考にしていただけたらと思います。こだわりに慣れていく事で、お友だち関係でのトラブルが解消しやすくなりますのでおススメです。
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予防的な関わりに共通する事は、いずれもできたらお子さんを褒めあげましょう。我慢して頑張った事はお子さんの努力です。ですので、お子さんが我慢した事は是非、沢山褒めてあげて下さいね。
まとめ
以上、本記事をまとめますと、
①まずは、お家のお子さんがどうして1番にこだわっているのか観察してあげましょう。
②かんしゃくになってしまった時の対応は、ステップにそって進めてあげて下さい。
→これは、自分で気持ちをコントロールする練習にもなりますし、負けを受け入れてポジティブに考えられるようになるのは社会にでてもお子さんにとって役立つスキルになります。
③お子さんの1番にこだわる理由に合わせて、予防的に関わってあげましょう。
上記に挙げた予防的な対応は、すべてやればいいという訳ではありません。
お子さん一人一人にぴったりと合った方法を発信したいので、さまざまな可能性に合わせ、対処できるように多様な対応プランを提案させていただきました。
ですので、お家でのお子さんの状況に合わせて、「これならいけそう」というものから積極的に試してみて下さい。
いくつかの対応を組み合わせると上手くいったというご家庭もいらっしゃいました。
特効薬ではないので、すぐにお子さんのかんしゃくが激変するわけではないですが、関わり方が変わるだけでも、叱る事が減ったり、焦らなくなったり、親子の関係性が変容していくことで、こだわりが減っていくこともあります。
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お子さんが褒められると頑張れるのと同じで、お父さん・お母さんもご自分を「よくやっているな」と褒めてあげて下さいね。時には自分にご褒美をあげましょう。
最後まで読んで下さりありがとうございました。