- 「テレビを見ている時に爪噛みしていて、何回注意しても治らない」
- 「手だけじゃなくて足の爪も噛んでいて、どうしたらいいんだろう?」
- 「爪を切る必要がないぐらい、爪噛みをしていて、優しく言ってもやめないです」
- 「自分も昔爪噛みをしていて、自分の子にはつらい思いをさせたくない」
お子さんの爪嚙みってやめさせるべきなのか、放っておくべきなのか、何が正しいのか迷ってしまうことはありませんか?
ついつい、やめさせようと思って怒っているんだけど、どうにもやめない、「愛情不足だ!」と言われて、そんなつもりはなくショックを受けたというご相談をいただくことが多いです。何でもかんでも親の愛情不足と言われてしまうとイライラしちゃいますよね。
本記事では、そんなお子さんの爪嚙みのメカニズムについて解説します。また、お子さんの好きな事を使った対処法や、どうしてもやめさせたい時の対処法についてもご紹介します。
- 「家はなるべく子どもには嫌な思いをさせずやめさせたい」
- 「家は忙しくて子どもをみる時間があまりないから、便利なグッズがあるならそれを試したい」
等々、最後まで読んでいただくことで、それぞれのご家庭のスタイルに合わせた対処法がみつかります。どれも難しい方法ではないですし、怒る・注意する以外の方法なので、是非試してみて下さい。
この記事を読んでみて、少しでも役に立った、「これでいいのか!」と、思えたら、多くの方のお悩みを解決していきたいので、是非、この記事をシェアをお願いします。
- アサヒです。臨床心理士・公認心理師です。
- 子育て相談&発達障害支援を10年間続けています。
- 年間約1500件以上の子育て支援・相談をしています。
- 教師・保育士・小児の作業療法士がいる子育て支援一家で生活してます。
- 私自身、2人の子どもを毎日マインドフルに子育てしています。
- さまざまな専門家(小児科医・児童精神科医・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等)がいる職場で、働いているので、心理学に基づいた専門的なアプローチだけでなく、常に目の前のお子さんに合わせた多様な関り・アプローチを実践しています。
- 同じ悩みでもお子さんやご家族のスタイルに合わせた対応をしています。
- お子さんにぴったり合った子育てをみつけてもらいたくて発信しています。
子どもの爪噛みの原因
- 刺激が足りずに入れている場合
- 退屈で暇を持て余している場合
- 集中や注意が切れた場合
- ネガティブな感情(不安・緊張・悔しい等)を抱いた場合
- 環境にストレス(勉強・いじめ・孤独等)がある場合
上記のような場合に爪を噛む癖が多くなりやすいと言われています。お子さんによって理由はさまざまですので、「これがそうだ!」という核心的な原因があるわけではないんです。
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子どもの爪噛みはいつから?
爪噛みは、習癖(しゅうへき)の一つになります。
習癖とは、
習慣となっているくせ。身についた、よくないくせ。(引用;goo国語辞典)
同じような習癖として、指しゃぶりや髪の毛を抜く“抜毛”があります。
お子さんが爪嚙みを始めるのは3歳頃からが多く、6歳から徐々に増え始め、10歳ぐらいのお子さんが最も多くみられると言われています。そこから徐々に減少し、大人になるまではほとんど見られられなくなっていきます(一部大人になってもみられる場合もあります)。大人になっても続く場合は、専門家に相談するのが一番だと思います。
爪嚙みはどう対応したらよいの?
小学生のお子さんにとって、爪嚙みは一般的にみられる癖の一つです。なので、実は特別な対応はいらない場合がほとんどなんです。逆に過剰に周りの大人が反応してしまう事で、かえって悪影響をおよぼすこともあります。
ですので、基本的な対応としては、3歳から10歳ぐらいまでは何かしらの癖はあるものなので、「仕方ないのか」と思いつつ対処を考えてあげる事が大切です。
子育ての相談に乗っていると、親になっても爪嚙みがやめられないという方がいらっしゃいました。詳しくおうかがいすると、やはり、小さい頃から、毎日のようにお父さん・お母さんに強く爪嚙みを怒られ、しまいには両手の指にカラシを塗られた経験をされていました。もちろん、両親からするとどうにかやめさせたいという一心だったと思います。ですが、そのように過剰に反応すると大人になってもやめられなってしまう事があるんです。
子どもの爪噛みへの対処マニュアル
お父さん・お母さんが過剰に反応しないようにする事の大切ですが、ではどう対処していったらよいのかについてこれから解説していきます。
- ステップ①:「どのような場面(時間帯)に一番爪を噛んでいるのか」を観察する所から始めましょう
- ステップ②:お子さんの日常生活で、何らかの焦りや不安・緊張といったストレスがないか、環境要因を分析しましょう。
- ステップ③:ストレスがあった場合は、爪嚙みがストレスサインかもしれません。爪嚙みを何とかしようとするのではなく、お子さんが安心できるよう、まずは環境を調整していってあげましょう。
- ステップ④:ストレスがなく、癖でやっている場合は、子どもが楽しくやめていける対処法を試してみましょう(詳しくは後述します)
- ステップ⑤:頑固で爪嚙みが一日に何回もある場合の対処法を試してみましょう(後述)
- ステップ⑥:出血や感染の恐れがある場合は、専門家(医療機関や行政の子育て相談等)に相談してください。
<ステップ③でストレスがあった場合の対応例>
- 宿題の時にイライラや悲しい顔して、爪嚙みしている→勉強を教えてあげる。
- 「宿題面倒くさいよね」「難しくてイライラして、爪嚙んじゃったんだね」と共感する
子どもが楽しくやめられる対処法
手を使う活動に誘う
爪嚙みをしている場面や時間帯が分かったら、その時間に遊び・お手伝い等、お子さんが手を使う活動に誘ってあげましょう。
個人的にはお子さんだけでなく、大人も使える、退屈な時に手を使えるアイテムとして、「フィジェットキューブ」がおススメです。さまざまな場面でのストレス解消にもなるので、大人も子どもおススメで病みつきになります。特に夕飯の準備で手が離せない時や、テレビを観ている時にはお子さんに渡しておくと有効だったという感想を多くいただきました。
テレビを見ていて、爪噛みを始めた時に、「ジャンケンしよう」「ブロックやろっか」と誘ってあげる(お父さん・お母さんと一緒に遊べるって分かるだけで、小学校低学年のお子さんは喜ぶこと多いです)。
アナログゲームは爪への意識も減らせるだけでなく、情緒も安定するので、療育でも積極的に取り入れています。
マニキュアを塗ってオシャレをする
特に女子児童に効果的な対処法です。100円ショップやオモチャ屋さん等でお子さんの好きな色のマニキュアを選んであげ、まずは、爪噛みをしにくい爪に塗ってあげましょう。
「可愛いねえ」「オシャレだね」とほめてあげ、その指に注目して気持ちをそらしてあげます。
お子さんに合わせて色んなパータンを試しやすいのもおススメする理由です。
爪噛みしてない時に褒める
望ましい行動がみられている時は積極的にほめてあげましょう。
爪噛みに関しては無意識に手が口にいっている可能性があるので、何もしていない時に褒めるのが有効です。
例:普段は絵本を読んでいると必ず爪噛みをするが、爪嚙みを始める前に、「すごーい今日は、爪を噛まないで絵本読めているね。びっくり!」、「まだ、爪噛みしないでいられているね、その調子、その調子!」等と、お父さん・お母さんから褒められると、お子さんはモチベーションが上がり、頑張ろうという気持ちになれます。
「爪を噛まないって言ってるでしょ!」より、はるかに効果的にお子さん自身が頑張ろうと思えるのでおススメです。
お子さんに共感する
→ステップ②のストレスがあった場合は、共感的な言葉かけが重要です。悔しかったり、悲しかったり、上手くいかない事があると、ストレスサインとして爪嚙みする場合もあるので、叱るのは逆効果になる場合があります。余計ストレスがたまるからです。
大切な事は、爪を噛んでストレスを発散するのではなく、言葉で誰かに自分の気持ちを伝えるようになることです。お子さんが安心して自分の気持ちを表出できるよう、「イライラしちゃって、爪噛んでるんだよね」「悔しかったら爪噛みたくなるよね」等、「悲しい」「悔しい」「不安」等と共感してあげましょう。そうすることで、お子さんは気持ちを表現しやすくなります。
その他
ストレスボール等の他の習慣に置き換える。
どうしても手持ち無沙汰で、口に指がいってしまう時、大人も忙しくて一緒に遊ぶ時間がないという時は、別の行動に置き換えるよって、やめられる場合があります。この場合は、事前にお子さんと爪嚙みの問題について話しておくと協力してもらいやすいです。
例:ストレスボールや握力バーを持たせてテレビを見てもらう。本を読んでいる時、宿題でイライラした時に、指のストレッチや、関節を鳴らす等、別の行動に置き換える事で、指を口にもっていかなくさせる事ができるので、おススメです。ストレスボールも色んな種類がありますので、参考にしてみて下さい。
本当はこのような方法で、「気が付いたら爪噛みをやめられていた!」というのが一番だと私個人は思っています。苦いマニュキアを塗ったりするのは、子どもに嫌な体験になるので正直反対だからです。
ですが、一日に何回も爪嚙みをしている頑固な癖の場合や、爪の形が変形する場合等、重度になってきた場合には以下のような方法も必要になると思うのでご紹介しておきます。
頑固な爪嚙みへの対処法
大前提として、本人の「やめたい!」という気持ちも重要になってきますので、いきなり始めるのではなく、「お父さん・お母さんが心配だから、一緒に頑張ってみない?」と話し合いをし、お子さんが同意してから始めてみて下さい。
ばんそうこうや手袋をする
爪の形が変形する、特定の指だけでなく、手の指全て噛んで爪を切る場所がない程度のお子さんには出血や感染する事のリスクの話をし、まずは特定の場面(時間帯)から始めてみて下さい。
もしくは、好きなキャラクターの絆創膏を貼ってみるのもおススメです。特に年齢が小さく、爪噛みのリスクを説明しても難しいお子さんの場合は、「大好きな〇〇を大事にしようね」「〇〇も応援しているよ」と声かけする事で頑張ろうというモチベーションにつながる可能性があります。
苦いマニュキアを塗る
あまりおススメはしていませんが、爪を噛んだ事で、苦味を感じると爪嚙みの頻度が減っていく可能性があります。お子さんの体に害のない成分で作られているマニュキアがほとんどですので、試してみてもいいかもしれません。
注意点:事前の話し合いと、約束を守って少しでも長い時間爪嚙みをせずにいられたら褒めてあげる事を忘れずに行ってあげましょう。頑張ったご褒美がないとモチベーションがあがらないですし、すぐにやめてしまいます。
それでも難しい場合
専門家へ相談しましょう。家族だけで悩むのではなく、医療機関(小児科や児童精神科または、皮膚科等)や行政の子育て相談等に頼る事も大切だからです。
重度じゃなければ相談してはいけないという訳ではありまません!
爪噛みのような癖は、お父さん・お母さんたちで何とかしようとするのではなく、困ったら身近な人や早めに専門家に相談し、気持ち的に安心できておく事も大切だと思っています。お父さん・お母さんの不安や緊張がお子さんにも伝わるからです。ですので、何事もそうかもしれませんが、困ったら相談するというのはとても大切なポイントだと思います。
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まとめ
よくある癖の一つ
爪かみは、小学校3-4年生ぐらいまでは多くみられる、よくある癖の一つとして認識をしておくのは大切です。
重度の場合以外は、爪嚙み自体は問題ではなく、基本的にはそのうち自然となくなっていく場合が多いからです。
保育園のお子さんのように、小さい頃の爪嚙みを何とかしようとしても上手くいかない事が多いです。
爪嚙みをやめる事の重要性をいくら説明しても理解ができないからです。そればかりか、過度な対応は、余計なストレスを生みやすく、やめさせたくてやっていた事が逆に、爪嚙みを増やしてしまう可能性もあります。
叱りすぎてしまうと、「やめられない自分がいけない」「自分はダメな奴だ」と罪悪感を感じる事や、怒られないよう隠れてやるようになったというお子さんもいました。
爪噛みや指しゃぶり等、大人でも子どもでも何かしらの癖はあります。ですので、親子でマニュキアを塗ってみたり、手を使う活動に誘ってあげたりして、楽しく卒業していく事をまずは目標にしてみましょう。
本記事で紹介した対処マニュアルが少しでも親子で楽しく過ごすための時間に役立てていただけると幸いです。
最後まで読んで下さりありがとうございました。