- 「静かにしていないといけない場面で大笑いしてしまって恥ずかしくて、、。」
- 「怒られているのに、ニコニコしているけど、本当に通じてる!?」
- 「知らない人に“太っているね”“あの人のお化粧変だよ”と指をさして言ってしまう」
junijuni(ジュニジュニ)
そのたびにお子さんに注意したり、怒った顔をしたり、「ダメ」「いけない」等と叱ってもまたやってしまって、どうしたらいいのか分からず困ってしまう事はないですか?
実はお子さんの中には、その場その場の空気や相手の表情を読み取る事が苦手な子がいます。
私たちは、①相手の表情や、②声の調子、③身振り手振り等から相手の気持ちを想像したり、読み取ったりして、その場に合わせて行動しています。
ですが、空気を読むのが苦手だと、悪気なく相手の気持ちや、その場の状況に関係なく行動した事で、怒られたり、嫌われたりしてしまう事もあります。
そこで本記事では、どうして空気が読めないのかその原因と、そのような場合にお子さんには、どうやって対応・伝えていけばよいのかを、詳しく解説していきます。
「だから、怒っても何回もやっていたのか!」と「家の子にはこの対応試してなかったからやってみよう」、「これなら分かるかも!」と、今までの対応から、ご自分のお子さんに合った対応をみつけられます。空気を読むのが苦手でも、空気を読みやすくしてあげる対応が分かりますので、参考にしてみて下さい。
少しでもお多くのご家庭の悩みを解決したくて発信しているので、この記事が少しでも役に立つと思ってくだされば、是非SNSでのシェアをよろしくお願いします。
- アサヒです。臨床心理士・公認心理師です。
- 子育て相談&発達障害支援を10年間続けています。
- 年間約1500件以上の子育て支援・相談をしています。
- 教師・保育士・小児の作業療法士がいる子育て支援一家で生活してます。
- 私自身、2人の子どもを毎日マインドフルに子育てしています。
- さまざまな専門家(小児科医・児童精神科医・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等)がいる職場で、働いているので、心理学に基づいた専門的なアプローチだけでなく、常に目の前のお子さんに合わせた多様な関り・アプローチを実践しています。
- 同じ悩みでもお子さんやご家族のスタイルに合わせた対応をしています。
- お子さんにぴったり合った子育てをみつけてもらいたくて発信しています。
原因として考えられる6つの苦手さ
- 自然に決まっているルール(暗黙の了解)を察するのが苦手
- 雰囲気を感じ取るのが苦手
- 表情読むのが苦手
- あいまいな表現が苦手
- 言葉のまま受け取りやすい
- 柔軟に対応するのが苦手
空気が読めるようになる対応
- 具体的に伝える
- 言葉かけはシンプルに
- 文字や絵で伝える
- 事前にどうしてほしいか伝える
- 周りに気づいているよう言葉かけをする
- 叱るより伝える・褒める
空気を読むのが苦手な6つの原因
①自然に決まっているルール(暗黙の了解)を察するのが苦手
いわゆる暗黙の了解を察するのが苦手です。暗黙の了解の辞典・辞書的な意味は以下のとおりです
『口に出して明言しないものの、当事者間の理解や納得が得られているさま。言葉にしなくても皆が了承しているさま。』(Weblio辞書より引用)。
つまり、口に出さなくても、みんなが分かっているその場での「常識」の事です。
身近な例
- 誰かが話している時は、しゃべらない、
- スーパーのお惣菜を勝手に食べない
- 友だちのオモチャを勝手に持って帰らない
他にも日常生活では沢山の暗黙の了解に満ちています。私たちは、「相手の領域」と「自分の領域」であったり、「騒いでも良い場所」と「静かにする場所」等を区別しながら生活しています。ですが、このような場所と場所の区切りは境界線になっているわけではありません。目には見えないですし、当たり前のことだと思われて、口にも出されない事が多いです。空気を読むのが難しいお子さんは、目にも見えず、絵にしにくい事を察するのが苦手です。さらには教えてもらえないので、悪気なく、思った事をやってしまうんです。
②その場の雰囲気を察するのが苦手
- みんなの前で先生が話していたら、今は先生が話しているし、みんなが真剣にしているから静かにしようとします。
ですが、空気を読むのが難しいと、その場の雰囲気を感じ取るのが苦手です。自分の気持ちを優先してしまいやすいからです。なので、先生が話している途中であっても、思った事があったら口にしてしまいやすいです。
③表情を読むのが苦手
- それはダメだよと言わなくても、お父さん・お母さんがお子さんの名前を呼んで、怒った表情をしたら、「いけないんだ」と察したり、自分のやりたいことを訴えても大人が反応しないければ、「今はやっちゃいけないんだ」と察したりすることがあります。
ですが、空気を読むのが難しいと、相手の表情や態度から、相手の気持ちや伝えたいメッセージをくみ取る事が苦手です。なので、怒った顔をしても、「お腹でも痛いのかな?」、反応しなくても「スマホ観てるから聞こえないのかもっと大きな声で言おう」等と、ずれた解釈をしやすいです。または、そもそも、そのように、表情や態度でメッセージを伝えていることさえ気づいていない可能性もあります。
④あいまいな表現が苦手
「しっかりして」「ちゃんとやって」「適当にしといて」等のあいまいな表現も、絵にしにくく具体的ではありません。なので、お子さんからしたらどうしたらよいのか分からず、自分の中のしっかりした行動になるので、周りとずれてしまって、空気が読めないと思われる場合があります。
⑤言葉の通りに受け取る
「やる気がないなら帰れ」「好きにしていいよ」「馬鹿だなあ」等の言葉もその通りに受け取ってしまいます。なので、そのまま帰ってしまったり、好きに遊び初めてしまったり、相手の冗談も本気にして怒ってしまう等の行動をとってしまい、空気が読めないと思われる場合があります。
⑥柔軟に対応するのが苦手
その場の状況に応じて、自分の行動や態度、会話の内容を柔軟に対応するのが苦手です。
- 初対面の人に友だちと話しているようにフランクに話す
- お父さん・お母さんと同じように知らない人に自分の要求を訴える
- 急に馴れ馴れしい態度になる
- 自分の事をどんどん教えてしまう
状況に合わせて態度を変えられないので、空気を読むのが苦手な子と思われる場合があります。
空気が読めるようになっていく6つの関わり
①具体的に伝える
以前別の記事でも解説しましたが、あいまいな表現より具体的な言葉で伝えた方が、伝わります。何をすればよいのかがイメージしやすいからです。
- 「しっかりして」→「背筋をピンと伸ばして」
- 「ちゃんとして」→「立って」
- 「急いで」→「走って」
具体的な言葉かけがあると、空気を読むのが苦手なお子さんにとって、その場に応じた正しい態度がとりやすくなります。
②言葉かけはシンプルに
「いつもいってるのにどうしてできないの?ママが片付けしてって言ったら急いでやってって何回言えばわかるの!?」とついつい、言ってしまいたくなる気持ちもよく分かります。忙しいとなおさらですよね。ですが、この注意には、どうしてできないのか?という質問や、片づけをすること、急いでやること、何回言ったら分かるのかという質問が含まれています。では、何をしたらいいのか、どれに答えたらよいか分からず、混乱している場合があります。
「オモチャを箱に入れて」とシンプルな言葉かけで、なおかつ具体的な方が、するべきことが明確で伝わりやすいです。
③文字や絵で伝える
目で見た方が言われるより理解できます。空気を読むのが苦手なお子さんは、原因でも説明しましたが、目に見えない暗黙の了解は察しにくいからです。ですので、目に見えるように、見える化してあげると分かる事が増えます。言葉は目に見えないので、忘れてしまえばそれまでですが、文字や絵はずっと残っていますし、いつでも確認できるので、忘れずにすみます。
静かにしてほしい場面で、「式が終わるまで静かにしててね」とメモをそっと渡したり、図書館の「館内はお静かに!」の張り紙を指さして教えておく。
この場所ではどう振る舞うのが良いのか見て分かれば、その場に応じた行動がとれるようになりやすいです。
絵カードもその場で求められている事がお子さんに伝わりやすいので有効です。
絵本やアニメもおススメ
お子さんは絵本やアニメでも良いです!ストーリーのある絵本から、お互いに話し合ったり、登場人物に共感してあげながら読んであげると、状況や相手の気持ちを理解していく助けになります。
アニメは、「トムとジェリー」や「ひつじのショーン」等の言葉のないものがおススメです。表情や場の雰囲気を楽しく読み取る練習になるからです。個人的にはこのように見て、楽しみながら自然と身につくのが一番だと思っています。
④事前にお子さんにどうしてほしいか伝える
- 周りの人を見て真似しよう、
- スーパーで唐揚げあっても食べません、
- 友だちの発表が終わるまでは静かにします
直前に伝えておくとどうすればいいのかイメージできます。
日々の中で、相手に言っていいこと・悪いことも事前に伝えておくことも大切です
- 「太っている人に、太っていると言ってはいけません」
- 「初対面の人に、何歳か聞くのはやめましょう」
このように暗黙の了解も事前に伝えておくことで、結果として、言わずに空気の読めた対応ができる事が多くあります。どう振舞うのがよいか分かるからです。
⑤周りに気づいていけるよう言葉かけをする
①図書館ではしゃいでいるお子さんに、「〇〇君何してる?」と、周りの様子に意識を向けられるようにしてあげ、
②「〇〇君絵本読んでる」と言葉で確認できるようにしてあげます。
③「静かに絵本読んでいるね。よく気づいたね。じゃあ、△△ちゃんはどうする?」と周りの様子に気づけてから、自分が何をする必要があるのか考えさせてあげて下さい。
このように、周りの様子に意識を向けてあげ、それを言葉で確認し、自分でどうしたらよいか考えるきっかけを作ってあげる事で、周りをみて判断していく力がついていきます。
④その上で、「もっと遊びたい」と言うのであれば、「遊びたいなら公園に行こう」とか「家で遊ぶか!」等と次の行動を誘いやすくなります。「絵本読みたい」と言うのであれば、「〇〇君みたいに静かに(小さな声で)読みます」とその場に合わせた対応を自然に促すことができます。
周囲に気づけるように言葉かけをしてあげ、出来たらほめてあげると良いでしょう。段々こうしたらいいんだというパターンに気づけて、空気が読めるようになってくる事で、友だちや家族からも認められて、お子さんの自信にもなります。
⑥叱るより伝える・褒める
空気を読むのが苦手なお子さんは、叱られると自信を失ってしまいやすいです。相手の言葉の裏にある意味合いをくみ取るのが苦手だからです。ですので、「ダメ!!」だけとどうすればいいのか分かりません。周りから褒められる「良い行動」とは何かを具体的に伝えてあげましょう。具体的にどうすればいいのかを伝える事で、望ましい行動につながっていきます。
誰かが話している時に、自分も楽しくて話し始めてしまったら、「楽しくなったから、言っちゃたんだね」と気持ちをくみとりつつ、「そういう時は、すぐに思った事を言わずに手を挙げて言おうね」
そして、良い行動がとれた時は、“出来て当たり前”と思わずに、「よく手を挙げられた」「しゃべらず我慢できてる!えらい!」「聞いてくれていてママ嬉しい」等とストレートな表現でほめてあげましょう。
大げさなぐらい思い切り褒める事で、お子さんの感情が揺さぶられ、良い行動が印象付けられて増えていきます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。その場にふさわしい行動って大人でも難しいですよね。特に日本人は暗黙の了解が多く、「勤務開始の20分前には出勤する」「上司が来る前にお茶を入れておく」等、社会人になってからも空気を読まなければいけない場面が多くあります。
空気が読めるようになっていく事で、周りから認められて、それがお子さんの自信になり、「やった」「できた」という成功体験につながっていきます。
その場に合った態度が自然に身についているのであれ、短く具体的な言葉かけや、目で見て理解したものであれ、その場に合わせた正しい態度がとれていれば結果的には同じことです。空気を読んだ行動は、周りの人に好印象を与えてくれ、よい人間関係を築くきっかけになります。
個人的には、絵本や「ひつじのショーン」のように、楽しく活動を通して、身に着けられるよう、一緒に読んだり見たりしながら言葉かけをしてあげるのが一番だと思っています。
長くなりましたが、困っているお父さん・お母さんのお役に立てたら嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。