- 「お風呂のお湯見ててね」と言ったらそのままずっと見ていて、「なんで教えてくれないの!?」って言ったら、「だって見てろって言ったじゃん」って言われてあきれちゃって・・
- 「お片付け1秒でチャチャっとやって、オヤツだよ」と、すぐできるよって事を冗談のつもりで言ったら、「ウソだ!1秒でなんてできるわけないだろ!」と怒り出してパニックに・・
- 「小学校のお友達に“ドジだなあ”って言われたら、本気で怒って殴ってしまって・・」
- 「小学校で筆箱忘れたお友達にえんぴつある?って聞かれて“あるよ”って答えてそのままプリントやってしまい、お友達がすごい怒っているのに気づいてなくて・・」
お子さんが冗談を真に受けて怒ったり、皮肉を言われているのに喜んだり、言葉通りに受け止めてしまった時、「そういうつもりじゃないんだけど・・」でも、どうしたらいいのか、どう伝えたらいいのか困ってしまいますよね。
「まっすぐ帰りなさい」と言われると、“どこにも寄り道しないで帰ってきなさい”という意味合いが含まれているのですが、お子さんによっては、言葉通り受け取ってしまい、その言葉に含まれているメッセージを読み取るのが苦手な子がいます。
そのような場合、「まっすぐ帰りなさい」と言われると、「田んぼがあって無理です」と答えてしまったりします。
そうなると、大人としては、どう伝えればいいんだろうと困ってしまいますし、何がいけなかったのか分からないですし、分かるように伝えるにはなんて言えばいいのか迷ってしまいますよね。
本記事では、冗談が通じないお子さんが、混乱してしまいやすい、6つの大人の言葉かけについて解説し、言葉のメッセージを読み取るのが苦手なお子さんと、言葉でコミュニケーションをとる際の対応のコツについて、より具体的にご紹介していきます。
最後まで読んでいただくことで、「あの時、家の子が分からなかったのは、だからか!」と、伝わっているようで伝わっていない事がある表情や、「こう言えばいいのか」というお子さんに合わせた対応のコツが分かりますので、参考にしてみて下さい。
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- アサヒです。臨床心理士・公認心理師です。
- 子育て相談&発達障害支援を10年間続けています。
- 年間約1500件以上の子育て支援・相談をしています。
- 教師・保育士・小児の作業療法士がいる子育て支援一家で生活してます。
- 私自身、2人の子どもを毎日マインドフルに子育てしています。
- さまざまな専門家(小児科医・児童精神科医・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等)がいる職場で、働いているので、心理学に基づいた専門的なアプローチだけでなく、常に目の前のお子さんに合わせた多様な関り・アプローチを実践しています。
- 同じ悩みでもお子さんやご家族のスタイルに合わせた対応をしています。
- お子さんにぴったり合った子育てをみつけてもらいたくて発信しています。
〇混乱しやすい6つの表現
- 決まり文句
- あいまいな表現
- 冗談やオーバーな表現
- 代名詞
- ことわざや例え文句
- 否定的な表現や命令
そもそも子どもが冗談が通じるのはいつから?
これはあくまでも目安ですが、早いお子さんでは4歳ぐらいから徐々に相手の気持ちが分かるようになり、5歳ぐらいには冗談や大人が伝えたいメッセージが読み取れるようになれます。ですが、育児本やネットの情報から、「もう5歳になったから家の子にも冗談を言っても大丈夫!!」というわけではありません。お子さんによっては得意な事とそうでない事の個人差があり、冗談を言っても通じていない、言葉の通りに受け取りやすい所があれば、それはまだ難しいんだと思って、控えてあげましょう。
混乱しやすい6つの表現
じゃあ冗談以外にもお子さんが混乱しやすい言葉かけってあるの?と思いますが、上記のように6つあります。それぞれについて解説していきます。
1:決まり文句
- 「まっすぐ家に帰ろう」と言われると、「田んぼがあって帰れない」と答える
- 「やる気がないなら帰れ」と言われると、もっと頑張れと受け取れずに帰ってしまう。
- 「空気を読んで!」の言葉かけも同じで、今の状況を察してという意味合いが伝わらず、「空気は読めない!」と反論するお子さんもいました。
このような決まり文句は、冗談が通じないお子さんにとって、「まっすぐ」が「寄り道しない」、「帰れ」が「もっと頑張れ」という意味につながりにくいので、混乱しやすいです。
2:あいまいな表現
- 「きちんとゴミ片づけて」
- 「ちゃんと食べて」
- 「ちょっとだけ我慢して」
- 「すぐにきて」
- 「そろそろ時間だよ」
これらの抽象的であいまいな表現は、具体的に想像できなかったり、過去に何回も経験していたとしても、「きちんと」が何を意味しているのか分からない場合があります。
3:冗談やオーバーな表現
- 「そんなの一瞬でできちゃうぜ」
- 「俺プリント5秒で終わらせたー」
等のすぐできることを友だちが自慢したくて言ったオーバーな表現も、言葉通りに受け止めてしまうので、「5秒でできてなかった!」「一瞬なんて嘘だ!」等と反論し、喧嘩になりやすい事があります。言葉通りに受け止めてしまいやすいお子さんは、冗談と本気との区別が苦手な場合が多く、真に受けて怒ってしまいやすいんです。
4:代名詞
- 「これみて」
- 「そっちに持って行って」
- 「あの」
このような代名詞の理解が苦手な事があります。「これ」「この」「こっち」「その」「それ」「そっち」等の代名詞は、その場その場の状況によって意味合いが変わるからです。相手が何を求めているのか、読み取る苦手さも影響をし、相手がどの事を言っているのか曖昧になってしまうので混乱しやすいんです。
5:ことわざ・例え文句
- お母さんが掃除に洗濯料理をしていて、「猫の手も借りたい」と言ったら、「猫の手借りてどうするの?」と言われ、説明したんだけど、全然関係ない公園で遊んでいる時に、「猫の手も借りたい」と言っていてどう伝えていいのか分からないです。
このようなことわざや、例え文句の場合も、「忙しくて大変」という意味を読み取るのが苦手で、お子さんよっては小学生でも、言葉通りに受け止めてしまいやすい事があります。また、そのようなことわざや決まり文句は、感情が揺さぶられる体験になり、その言葉を覚えやすいので、別の場所でも状況とか関係なく使いたがるお子さんもいます。
6:否定的な表現や命令
「〇〇しちゃだめ」と否定的な表現になると、言葉通りに受け止めやすいお子さんは、じゃあ何をすればいいのか分からなかったり、自分が非難されているように受け止めてしまったり、否定されたという事実だけで気持ちが落ち込んで内容が入っていなかったりする事があり、混乱しやすいです。
「〇〇して!」「△△しないさい!」等の命令形も怒られたんじゃないかという気持ちだけが残って実は内容が入っていない場合が多いです。
対応のコツ
それではどんな関わりや言葉かけをしていけば、混乱しにくいのか、冗談が通じない/言葉通りに受け止めてしまいやすいお子さんへの対応を紹介します。
1:具体的な表現で伝えてあげましょう。
あいまいな表現や遠回しな表現では伝わりにくい事が多い場合は、言葉かけは具体的な方が、お父さん・お母さんが何をしてほしいのかが分かるので、伝わりやすいです。
- 「忙しいから急いで」→「走ってお母さんの所まできて」
- 「早く着替えて」→「7時までにお着がえしてね」
- 「きちんと片付けて」→「本を本棚に入れて」
- 「ちょっとだけ待って」→「5分待って」「時計の長い針が6になるまで待って」
- 「少しだけ手伝って」→「食器をテーブルに持って行って」
- 「ちゃんと勉強やったらテレビ」→「宿題のドリルが終わったらテレビ」
- ※中には「お皿洗って」だとお皿だけ洗うお子さんもいるので、「シンクの中の食器を洗っておいて」と言い換える場合もあります。
2:短い言葉で伝えましょう
長い文章になると、話しかけた言葉を聞き逃す場合や、1度に1以上のの指示を覚えておくのが苦手な場合があります。
「先にご飯を食べるけど、その後宿題やってからお風呂に入るからね」という言葉には、食事と、勉強と、お風呂の3つの指示が入っています。ですが、食事に時間がかかると、最初に言われた指示は忘れてしまうので、「なんで宿題やらないでテレビ観てるの!」と怒られやすいお子さんがいますが、実は大人でも難しい方がいらっしゃるくらい言葉で言われた内容を覚えておくのって難しいんです。
食事の前は「ご飯食べます」と伝え、食事が食べ終わったら、「今日の宿題のドリルをやりましょう」と伝え、宿題が終わったら、「お風呂に入りましょう」と伝えてあげてみて下さい。
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3:お子さんにとって分かる言葉(目印)に置き換えてあげましょう
言葉通りに受け取ってしまいやすい一面はありつつも、
- 急いでほしい時に「特急電車で行くよ」と伝えると急いだり、
- 「うるさい」というより、「お口チャック」とジェスチャーも入れて伝えた方が理解できることがあります。
- 「残さず食べてね」より「ライオンさんみたいにガツガツ食べよう」と伝えた方が食べるお子さんもいました。
ご自分のお子さんが理解しやすい表現で伝えてる事が大切です。多くの場合はお子さんが“今ハマっている物(電車・動物・キャラ等)”はイメージがしやすく、なりきってもらってもいいかもしれません。
4:見てわかるようサポート
見て分かるように流れが分かるとイメージしやすいです。言葉で一つ一つ短く、具体的に伝えても難しい場合、「いらすとや」のイラストを使って、夕方の流れを見てわかるようにしてあげると、効果があるお子さんもいます。言葉は聞こえたまま形として残らないので忘れてしまいますが、イラスト使えば忘れても確認ができるので、困ったら自分で確認するという習慣もつくのでおススメです。
作るのが面倒だなと思う、ご家庭は、既にある絵カードを使ってあげても良いかもしれません。保育園や、療育施設では絵カードを使用する事が多いです。
ちょっとした裏技ですが、ウォールポケットに絵カードを入れるだけで、ご自分で作らなくても生活の流れがイメージできるので楽ちんですよ。
まとめ
「家の子は冗談通じないぐらいまじめで」「なんでも言葉通り受け止めちゃうから何でも信じちゃうの」と、それらは個性としてとらえてあげ、混乱しないように大人が言葉かけを工夫するのは大切ですが、もっと大切なことはそのような個性でお子さんが「困っていないか」どうかという事です。
もし学校生活や対人関係で困っていたり、口では困っていると言わなくても、楽しそうじゃない毎日を過ごしていたり、辛そうにしていたら、早めにお子さんが混乱しない対応のコツを使い、それを周りの大人ともシェアする事で、お子さん自身が少しは楽になるかもしれません。お子さんが困っている際は、ご家庭だけで何とかしようとせず、保育園や学校の先生、自治体の子育て相談の窓口に行ってみるのも大切です。
言葉かけが代わる事でお子さんの「分かった」「できた」「楽しい」という体験が少しでも増えると嬉しく思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
少しでも役に立った&身近に悩んでいる折り合いがいらっしゃいましたら、一人でも多くの子育ての悩みを解決したいので、是非シェアをよろしくお願いいたします。↓↓