「すごい」って褒めて何がいけないの?
お子さんにとって、「褒めることは良いことですよ」という言葉は、子育てをしているお父さん・お母さんでしたら、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
「すごいじゃん」「えらい!」等は日常場面でもよく使うほめ言葉ですよね。
実は、ほめ方にも注意した方がよいほめ方・ほめ言葉があるとしたら、どう思いますか?
・「えーなんだよ、もう褒めているからいいじゃんか」
・「そんな事言われたら褒めるのが怖くなるなあ」
等と思ってしまいますよね。
どうせ褒めるならお子さんの成長を伸ばしていくようなほめ方がいいなあと思いますし、実はほめ方にはさまざまなアプローチの仕方があるんです。
その中でも日頃から使いやすい、「すごい」「えらい」は実はお子さんの成長で考えた時に、実は気を付けたいほめ言葉だったりします。
「えーじゃあ、なんて褒めればいいの?」
「他にはいう事ないよ」
等と不安に思われるかもしれませんが、大丈夫です。
本記事では、どうして、「すごい」「えらい」等というほめ方がお子さんの成長にどんな影響を与えるのかを丁寧に解説していくとともに、注意したい子どものほめ方について3つのパターンを紹介したいと思います。3パターンを解説した後に、お父さん・お母さんが褒める事を不安に思わないよう、それに代わるお子さんに伝えたいほめ方3パターンを紹介します。
記事を読んだ直後から簡単に、今すぐできる、「すごい」「えらい」を逆にお子さんの成長をうながす、効果的なほめ方に変える方法が分かるようになりますので、是非最後まで読んでいただけると嬉しいです。
FX初心者から上級者、幅広く選ばれているDMMFX
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- アサヒです。臨床心理士・公認心理師です。
- 子育て相談&発達障害支援を10年間続けています。
- 年間約1500件以上の子育て支援・相談をしています。
- 教師・保育士・小児の作業療法士がいる子育て支援一家で生活してます。
- 私自身、2人の子どもを毎日マインドフルに子育てしています。
- さまざまな専門家(小児科医・児童精神科医・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等)がいる職場で、働いているので、心理学に基づいた専門的なアプローチだけでなく、常に目の前のお子さんに合わせた多様な関り・アプローチを実践しています。
- 同じ悩みでもお子さんやご家族のスタイルに合わせた対応をしています。
- お子さんにぴったり合った子育てをみつけてもらいたくて発信しています。
注意したいほめ方3パターン
それでは早速結論からですが、注意したいほめ方は以下の3パターンになります。
1:すごい・えらいとだけほめる
2:誰かと比べる
3:結果や才能のみをほめる
では、どうして注意したい・気をつけた方がよいのかを解説していきます。
①すごい・えらい とだけほめる
何についてほめられているのか分からない。
例えば、初めてスプーンやハシを使って食事が食べれるようになった時、お子さんすれば、お父さん・お母さんに褒めてもらえることで、「自分にもできるんだ」と自信を持てます。
ですが、この時にただ「すごいじゃん!」「えらいね!」だけだとどうでしょうか?
お子さんすると、まだ「ここ頑張ったなあ」と自分の行動を振り返るのは難しいので、褒めてくれているけど、自分の何が良かったんだろうと戸惑ってしまう事があります。
他にも少しできるようになった事(例:昨日よりもケンケンパを5歩多く跳べた、おかずも箸で持てた等)は、「すごい!」「上手!」と褒めても、お子さんからすれば、余計にピンとこない事は想像しやすいと思います。
良い行動が具体的に分からず、繰り返しにならない
上記のような例の形で褒めていっても、お子さんは何がすごいのか分からないので、毎回の積み重ねになりにくいです。ですので、どれだけ沢山褒めても、お父さん・お母さんの望ましい行動が増えていかず、親としても、
「こんなに褒めているのにどうしてやらないんだ」とイライラ
「褒めても無駄だな」と褒めなくなってしまう
頑張ったことがむくわれずに疲れてしまいやすいです。
自分がすごい存在なんだと思い込みやすい
→何がすごいのか分からないけど、とにかく“すごい”“えらい”と言ってもらえると、「自分はすごい存在なんだ!偉いんだ!」と、思い込んでしまう可能性があります。そうなるとどうなるか?
- 友だちに「そのオモチャ貸してよ!」と言われても、「(ボクは偉いんだから、貸さなくてもいいや)嫌だね!」
- お母さんに「お片付けしなさい!」と言われても、「(私はすごいんだからそんな事しないよ)お母さんがやって!」
これらの例のように、お父さん・お母さんはお子さんの、出来るようになった事をほめたつもりだったのですが、お子さんからすると、「ボク(わたし)自身がすごい・えらい存在」と裸の王様状態になってしまいやすいんです。そうなると、協力するのが嫌になったり、周りの人に冷たくしたり、好きな事しかやらなかったりとお父さん・お母さんの思いとは逆の方向に育っていってしまうんです。
②誰かと比べてほめる
これは何となく想像しただけでご理解いただけると思います。
いじめの原因になる
「〇君(ちゃん)より上手!」と褒めていくと、「〇君(ちゃん)は自分よりもできないんだ!」と思い、バカにしたり、本人に直接「ボク(わたし)の方ができる」と言い、お友だちを傷つけてしまいます。つまり、他人を攻撃するような性格に育てってしまう可能性があるんです。
人の評価ばかり気にするようになる
→誰かと比べながら褒められると、「ボク(わたし)はお友だちよりもできるのか・できないのか」と人と比べてもらえないと自信が持てなくなってしまいやすいです。そうなると常に、周りの人からの評価を気にするようになります。お子さんによって一人ひとり、得意な事もあれば、苦手な事も当然あるのですが、まだ年齢が幼いとそれに気づけません。そんな中で、誰かと比べて褒められていると、逆に、「〇君(ちゃん)はちゃんとやっているよ」とお友だちと比べられて出来なかった時は、他のお子さんよりも余計に傷つきやすくなってしまいやすいんです。
③結果や才能のみをほめる
「上手くできてえらい!」「天才だ!」とチャレンジした事の結果や才能をほめる事ってよくありますよね。私もついつい子どもが頑張った事に対して、結果だけ褒めてしまう事や、「家の子って天才だ」と思う事も沢山あります。一見すると、ほめ方のあるあるなのですが、どこが注意したいのかと言いますと、
チャレンジするのが怖くなる可能性があります
結果や才能ばかりほめ続けると、①の「すごい」・「えらい」とだけ褒めると同じで、「成功がすごい」「自分は天才だ」とお子さんは思い込んでしまうので、逆に「難しいなあ」、「出来ないかもしれない」と思った事、つまり、お子さんが成長しようとしている事に対して、「できなかったらダメだ」「失敗したら天才じゃない」とも思い込んでしまいやすいんです。そうなると、挑戦する事自体をためらってしまい、チャレンジするのを嫌がったり、やってもすぐに諦めてしまったりと、難しい事を頑張ってみるという気持ちが育ちにくくなります。
努力しなくなる
結果や才能をほめ続けると、
「ボク(わたし)は頑張らなくてもできるだろう」
「自分は才能があるから大丈夫だ」
と、過剰に自信がついてしまい、自分は才能があるからと、上手になる為に努力しなくなったり、成功すればなんだっていいんだと結果にのみこだわりやすくなります。そうなると、失敗が怖くなり、できなかった時は、自分はダメな奴だと傷つき、成長していくために必要な努力や粘り強く続けていくという気持ちが育ちにくくなってしまうんです。
以上の「注意したい」ほめ方の3パターンを読まれて、「このほめ言葉を使わずして、じゃあどうやってほめろって言うんだ!」と思うのは当然です。親であれば子どもができた事は当然嬉しいですし、すごいって褒めたくなりますもん。
私自身も言ってしまう事があるので、「言ってはいけない」とは言えせん。「注意したい」「気をつけたい」と解説しています。そこを誤解されてしまうと悲しいですし、お父さん・お母さんも混乱してしますので一応補足させていただきました。
では、「注意したい」「気をつけたい」とはどういう事なのか?
それは解説してきた3パターンで「ほめ続けない」という事なんです。時々言ってしまうし、言いたくなる事は当然あります。それは子育てをしていると当たり前だと思います。ですが、いつもそのほめ方(すごいだけ・誰かと比べる・結果や才能)ばかりで褒めると、お子さんが、お子さんらしく育ちにくくなってしまうかもしれないので、別のほめ方も使ってみて下さいねという意味で「注意したい」「気をつけたい」と解説してきたことをご理解いただけると嬉しいです。
注意したいほめ方に代わるお子さんに伝えたいほめ方3パターン
1:プロセスを「ちょい足し」ほめ
すごい・えらいもほんの一言だけ付け足すと、成長を伸ばしてくれる褒め言葉になります。
- 「大きな声でお返事できてすごいね」
- 「〇〇頑張ってやってて、えらいよ」
- 「スプーン使って食べようとしたんだ?すごいじゃん」
- 「お友だちに優しくできて偉いね」
具体的な行動や、お父さん・お母さんの望ましい行動を「ちょい足し」してあげると、お子さんはどの行動が評価されたのか分かります。そのように「ちょい足し」で褒めてあげると、褒められた行動を繰り返して、また褒めてもらおうとお子さんは頑張れます。さらに、具体的に褒めてあげる事を繰り返していくと、お子さんは、自分のどこが長所か、何が得意で、どんな事が好きなのかを自覚できるようになります。
大人でも職場でほめられると嬉しいですし、やる気がでますよね。このように「ちょい足し」ほめにしてあげる事で、お子さんのやる気を引き出す効果的なほめ方になります。
かなり使える!ちょっとしたコツ: 「ちょい足し」が慣れない頃は、お子さんを観察してあげていて、「最近スプーン使えているし、今日もスプーン持ったら“スプーンで食べようとしてえらいね”とほめよう」とあらかじめ、特定の場面を決めておいて、こうやって褒めようと決めておくと、とっさに「ちょい足し」を考えなくても、すぐに効果的にほめる事ができます。慣れてくると後はそれをテンプレして別の場面でも「こうやって伝えよう」決めておけば、とっさに言葉が思い浮かばないなんて事が減って、お子さんのやる気を引き出せたりします。
2:比べるのではなく「私言葉」で伝える
私メッセージで伝える
誰かと比べたくなる根底にはおそらく、「あなたはこういう所を頑張っているね」「こんな素晴らしいところがある」というお父さん・お母さんの気持ちをお子さんに伝えたいのではないでしょうか?
その際に比べるのではなく、自分を主語にして、「(あなたの行動で)お母さん(わたし)はこう感じたよ」「(あたなの行動の)お父さんはこんな所がすごいと思うよ」という形でお子さんの素晴らしい所をみて感じた事を伝えてあげると、お子さんにお父さん・お母さんの気持ちがストレートに伝わります。
- 「△君より早く走っててすごいぞ」→「パパは、〇〇が走るの頑張っているのすごいと思うよ」
- 「お兄ちゃんよりお手伝いしてくれてえらい」→「〇〇がいつも、ご飯のお手伝いしてくれて、ママはとっても嬉しい」
- 「△ちゃんより上手に折れるようになったじゃん」→「苦手な折り紙もできるようになってきて、お母さん驚いたよ」
このように、気持ちを伝える際は、「私言葉」を意識して褒めてみても、お子さんは自信をもって褒められた行動を自分からどんどんやろうと思えるようになります。
周りの人をお子さんがほめるようにうながす
「妹も頑張っているから応援してあげようね」
「△ちゃん苦手な折り紙頑張っているからほめてあげよう」
等と、誰かと比べるのではなく、誰かが頑張っているプロセスをほめてあげるよう、うながしてあげる事も、自分も頑張れば褒めてもらえる、成功したからすごいんじゃなくて、頑張っているからすごいんだと、チャレンジすることの大切さを学ぶことができます。
3:チャレンジしようと思った事をほめる、
結果や才能ではなく、苦手な活動や難しい課題に取り組むときに、やりたくないけど、やろうと思った意思がすごい、勇気をだしてチャレンジしてみたことが偉かったと、上手くいかなくても褒めてもらえたというほめ方は、「また頑張ろう」という挑戦する心を育ててくれます。そのような際に、
- 「前は苦手だった、かけっこも早くなってきているよ」
- 「ケンケンパ、前よりもすすめるようになってきたね」
等と褒めてあげると、頑張ってやっていくことで、苦手な事もだんだん良くなってきているんだと、自分で気づけるようになります。そんなほめ方にチェンジしていくと、上手になるために努力して頑張ったり、結果に関係なく、チャレンジしてみようという、勇気が育っていきやすくなります。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。日常生活をお子さんとともに過ごしていて、ついつい、「すごい」「えらい」という事は誰にだってあります。それが悪いというわけではないですし、お父さん・お母さんがお子さんを褒めたいと思う気持ちが何よりも大切です。
ですが、お子さんの視点に立った時、
- お子さんがどんな行動を褒められたのか分かって、自信を持てたり、
- 自分のどこが長所か、何が得意で、どんな事が好きなのかを自覚できるようになったり、
- 粘り強く頑張ってみようと思えたり、
- 難しい事にもチャレンジしようと思える
とお子さんが思えるってとても素晴らしいですよね。
お父さん・お母さんや、関わる大人の、ほめ方のちょっとしたアレンジや、「ちょい足し」でお子さんの成長を促してあげる、背中を押してあげるエネルギーになりますので、是非こんな風に褒めてあげようと思いながら、関わってみていただけると嬉しいです。
補足:こんなに風に褒めてあげよう、ここ出来るようになってきたから、こうやって褒めてあげようという視点でお子さんを観て下さると、お子さんの良い部分、伸びてきている部分沢山みえてきて、気になる事でお子さんに叱ってしまう回数が減る事もあります(実はこれがお子さんの関わりでかなり重要な視点だったり)。
そして何よりも、お子さんの為に頑張って子育てをしているご自分を褒めててあげて下さい。子育てでは、ご自分の為のリラックスできる時間、気分転換の時間を作ったり、頼れるところは誰かに頼ったり、ちょっとした手抜きをすることも大切です。お父さん・お母さんがご自分にも優しく子育てができるよう、これからも、お子さんや多様なご家庭の子育てスタイルに合う方法を発信していきますので、少しでもお役に立てたら嬉しいです。
※ちょっとしたご褒美でご自分にもお子さんにも優しくなれますね
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最後まで読んで下さりありがとうございました。