- ドアの開け閉めが強い
- おもちゃを乱暴に扱う
- すぐにものを壊しちゃう
- 力加減ができず乱暴だと言われる
- ダンスが苦手
お子さんのこんな行動に困ったことはないですか?
元気がある証拠だなあと思いつつ、集団では乱暴な子と思われないか心配にちゃいますよね。
実は、このようなお子さんは、力加減が上手にコントロールができない為、乱暴な子と誤解されがちですが、力の使い方を覚えていくことで、問題が改善されていくことがあります。
そこで今回の記事では、力加減が苦手なお子さんが、コントロールできるようになる方法について解説していきます。
この記事を読んでいただくと以下の3点が分かります。
- 力加減が難しい原因
- 力のコントロールができるようになっていく為の関わり
- 力のコントロールが身についていく効果的な遊び
以上のポイントをおさせていただくことで、力加減が苦手なお子さんへの知識と対応が身につけられますので、お子さんの行動に困った時でも、「こうすればいいんだ」というお父さん・お母さんの悩みの解決に繋がります。
- アサヒです。臨床心理士・公認心理師です。
- 子育て中のお父さん・お母さんを心から尊敬しています。
- 子育て相談&発達障害支援を10年間続けています。
- 年間約1500件以上の子育て支援・相談をしています。
- 教師・保育士・小児の作業療法士がいる子育て支援一家で生活してます。
- 私自身、2人の子どもを毎日マインドフルに子育てしています。
- さまざまな専門家(小児科医・児童精神科医・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等)がいる職場で、働いているので、心理学に基づいた専門的なアプローチだけでなく、常に目の前のお子さんに合わせた多様な関り・アプローチを実践しています。
- お子さんにぴったり合った子育てをみつけてもらいたくて発信しています。
結論
力加減がうまくできずに乱暴になってしまいやすい原因
「固有受容覚刺激を感じにくさ」
が影響している場合があります。
固有受容覚への刺激を幼い頃から遊びを通して充してあげることで、力をコントロールする感覚が発達して行きます。
固有受容覚機能って
思ったように自分の体を動かしたり、力の入れ具合を感じたりする感覚です。
この感覚は、関節や筋肉で感じ取ることができます(受容器=関節や筋肉)。
以下に今回の記事に関係する固有受容覚の主要な働きをまとめました。
固有受容覚の主な働き
1:力加減をコントロールする
・軽い大福やケーキは潰さずに、優しく持って口に運ぶことができます。
・逆に重たい机や椅子を運ぶ時は手に強く力を入れて持ち上げますよね。
固有受容覚には、荷物を持つときに「重い」「軽い」といった重さを感じ取り、その重さに合わせた筋力や力加減を調整してくれる働きがあります。
2:運動のコントロール
脳から「両手を上に上げて、体を後ろにそらして背伸びしてください」という指令が出た際に、関節や筋肉から「出来てますよ!」という情報を、脳に伝え返す働きもあります。
また、ダンスのように素早い関節の動きや、ドミノをやるときのように、ゆっくり・そっと手を動かすといった、素早くやゆっくりとした関節の動きも固有受容覚がしっかりと脳に関節の曲げ伸ばしができていることを伝え返しているのでできるんです。
3:情緒のコントロール
イライラする時に、手をグッと強く握ったり、はを食いしばったりしませんか?
どうしようと心配な時や緊張する時に、貧乏ゆすりをする人もいます
このように、固有受容覚を感じることで情緒が安定する機能もあります。
他にもさまざまな機能があります。
どうして固有受容覚が乱暴さに関係しているの?
固有受容覚の感じ方はお子さんによってそれぞれです。
一般に固有受容覚を感じにくいと、力加減が難しくなります。
なぜ?
→自分自身の体がどのように動いているのか、脳が判断できないため、正確な動きができなくなってしまうからです。
→また自分自身の筋肉にどの程度の力が入っているのか脳が感じにくいので、力加減が難しくなります。
感じにくいとどんなことが起きるの
固有受容覚を感じにくいと以下のような行動がみられます。
- 友達のことを呼ぼうとして軽く叩くつもりでも強く叩いてしまう
- ダンスや体操で先生の真似をして真似して体を動かすのが難しい
- 折り紙をそっと持つつもりが握ってしまう。
- 強い力でドアを閉めてしまう
※いずれの場合も力加減が刺激として脳に伝わりにくなっているので、わざとやっているわけではありません。
脳が刺激を求めているサイン
固有受容覚の刺激が感じにくいと、脳はその刺激を求めるようになります
ですので、以下のような行動が見られる時は、刺激を求めているサインかもしれません
- 走り回る
- 席に座ってられずに、動きまわる
- 乱暴な遊びをする
- チャンバラごっこ
- キャラクターをぶつける闘いごっこ
固有受容覚機能を整える関わり
脳が刺激を求めているので、基本的には充分に筋肉を使う経験ができる遊びがポイントになります。
簡単な遊びで言うと、「鬼ごっこ」のように、思う存分自由に走り回る、体を動かす遊びが重要といえます。
困ったときに助けてくれるヒーローにもなれる
固有受容額の感じにくいお子さんは、充分に力を発揮することは嫌いではないので、重いものを運ぶお手伝いをしてもらうといいでしょう。
乱暴な動作が多く、力加減の苦手なお子さんの相談は多くあります。
保育園や学校の先生とも相談し、協力してもらえる場合は、給食の食器が入ったかごやマルショクかんを運ぶ係りにしてもらったお子さんや、掃除の時間に椅子や机といった重たいものを運ぶ係りを任されたお子さんもいます。
共通していたのは、得意そうな顔で重たいものを運んでいたり、周囲から力持ちだねとほめられて自信が持てるようになったという点です。
周囲も乱暴で困った子というよりも、重いものが持てずに困っている子を助けてくれる頼りになる存在として捉え直してくれることが多いです。
お家の中でも、重いものを運ぶお手伝い(洗濯物を運ぶ・布団の準備等)は効果はあるので試してみてください。
固有受容覚が満たされる遊び
そうはいっても、毎回毎回走り回ったり、重いものを持ってもらうのも難しいなあという場合、遊びからでも、固有受容覚の刺激が満たせる遊びがあります。
園やお家でできそうな遊びの例をいくつかご紹介します
①バケツで砂遊び: バケツに砂をいっぱい入れて、クルクルと回る、バケツの砂が落ちないよう腕だけで垂直方向にぐるぐる回す
②的あて: 投げるものや、的の距離、高さを変えると効果的
③おはじきシュート: 親指や人差し指を使って他のおはじきに当てたり、円の中に入れる(カーリングのように中心が高得点にするとなお効果的)。
※おはじきではなくてもペットボトルのキャップでも代用可能ですよ。
このような遊びは、「発達の気になる子の感覚統合遊び」にもっと詳しく載っています。
お子さんに合わせた思いもつかない遊びが沢山みつかるので、お子さんとどう関わろうかと迷った方もお子さんが感覚的に喜ぶ遊びが中心ですので参考になります。
お父さん・お母さんだけでなく、園の先生がご覧になっても、保育場面で活用できる集団遊びもたくさん載っているので、遊びを通してお子さんの困り感を減らしてあげたい、できることを増やしてあげたいという方は是非ご覧になってみて下さい。
太鼓のオモチャ
→理想を言うと実際の和太鼓を叩いてみるのが1番なのですが、なかなかそんな機会もないですよね。
→ですので個人的には太鼓のおもちゃがおすすめです。
運動のコントロール: 自分が脳の指令の通りに動いたよという体の動きは、太鼓を叩いた反動と音の大きさで強く実感できます
情緒のコントロール: 太鼓のおもちゃやゲーム自体が楽しいのでストレス発散にもなります。また、ストレスが溜まったと時に太鼓を思い切り叩いたり、連打したりすることでこの固有受容覚刺激が満たされ、情緒が安定しやすくなります。
太鼓のおもちゃは是非やってみてください。楽しいですし、一つのことがうまくいくと、一ろんなことがうまくいき始めます。
太鼓の達人
個人的には力加減が苦手なお子さんは、和太鼓教室に入れていただくのが一番効果的だと実感しています。
ですが、それが難しい場合、「太鼓の達人」は保育園から小学校高学年またはそれ以上の年齢になっても遊ぶお子さんも多く、おススメです。
曲も有名でお子さんに人気な曲ばかりですので楽しく、固定受容覚が満たされ、情緒も安定できますし、リズム感も身につきますし、お子さん自らどんどん遊びたがってくれるので、力加減が苦手なお子さんには1石5鳥ですし、お父さん・お母さんからコスパもよく長く遊んでもらえるので、1石6鳥ですね。
和太鼓が難しい場合は、太鼓の達人は遊び感覚で長く刺激を満たせるので、お子さんが力をコントロールできるようになっていく近道かもしれません。
まとめ
今回の記事のまとめです。
力加減がうまくできずに乱暴になってしまいやすい原因
→固有受容覚刺激を感じにくさが影響していることがあります。
固有受容覚機能って
思ったように自分の体を動かしたり、力の入れ具合を感じたりする感覚です。
この感覚は、関節や筋肉で感じ取ることができます
固有受容覚の主な働き
1:力加減をコントロールする
→「重い」「軽い」といった重さを感じ取り、その重さに合わせた筋力や力加減を調整してくれる働きがあります。
2:運動をコントロールする
→体の動きを関節や筋肉を通して「出来てますよ!」と、脳に伝え返す働きもあります。
素早くやゆっくりとした関節の動きも固有受容覚がしっかりと脳に関節の曲げ伸ばしができていることを伝え返しているので可能になる。
3:情緒をコントロールする
→手をグッと強く握る、貧乏ゆすりをする等、固有受容覚を感じることで情緒が安定する機能もあります。
日頃の関わり
- 基本的には思う存分自由に走り回る、体を動かす遊びが重要です
- 重いものを持ってヒーローにしてあげましょう
実際に重いものを持つことで、徐々に力加減をコントロールできるようになります。
刺激を満たせる遊び
- バケツで砂遊び
- 的あて
- おはじきシュート
遊びを通してお子さんの困り感を減らしてあげたい、できることを増やしてあげたいという方は発達に関係なくこちらの本が参考になりますので気になった方はご覧になってみてください。
太鼓のオモチャ
力加減のコントロール:バチを握る、バチを振りおろす、叩く感覚が掴みやすく、叩く強さの加減もできます。思い切り叩く時は強く握りますし、軽く早く叩く時はバチを弱く握りますので、握り方の強弱の加減もできるようになります。
運動のコントロール:自分が脳の指令の通りに動いたよという体の動きは、太鼓を叩いた反動と音の大きさで強く実感できます
情緒のコントロール:ストレスが溜まったと時に太鼓を思い切り叩いたり、連打したりすることでこの固有受容覚刺激が満たされ、情緒が安定しやすくなります
→物を乱暴に扱われたり、壊されるより遥かにマシですね。
→太鼓の達人は、まさしく固有受容覚を発達させていくには重要な要素ばかりでおすすめですし、効果が期待できますので、楽しく遊びながらお子さんの力加減をコントロールしてあげて下さい。
どれがお子さんに合うのかは、試してみないと分からないですよね。
また、どれか一つをやればいいと言うわけでもないですので、お子さんが楽しめるところから少しずつ広げていってあげ、お子さんの困り感を減らしてあげてください。
一つのことがうまくいくと、いろんなことがうまくいき始めます。
家庭のスタイルもありますので、お父さん・お母さんもこれならできそうと言う所から無理になく試してみてください。
今回の記事のような体験を繰り返していくことで、力加減のコントロールを学習し、乱暴な行動も軽減していきます。
お子さんの成長を信じて試してみて下さいね。
最後まで読んでくださりありがとうございました。