- 1ヶ月前のことなのに、「昨日動物園に行ったね」
- 先週食べたお菓子「昨日のお菓子おいしかったね」
お子さんが昔のことを昨日と話すことはありますか?
「いつのこと言っているの!?」「昨日じゃありません!」と突っ込みたくなるお父さん・お母さんも多いのでないでしょうか。
このように言ってしまうお子さんは、時間の流れを感じにくく不安な毎日を過ごしている可能性があります。
また、実はある年齢までは、過去の事を「昨日」と言うのは仕方がないことなので、毎回言い直しさせなくてもよかったりもします。
そこで今回の記事では、昔の事を昨日と話すお子さんの心理やお子さんに合わせた対応について解説していきます。
この記事では、こんなことが分かります。
- 昨日と話してしまう理由
- 時間の概念や流れに気づける関わり
- 伝えたい言葉かけと気をつけたい言葉かけ
過去の事を昨日と話すお子さんにどう対応したらよいかお悩みのお父さん・お母さんの少しでもお役に立てればと思っております。もし、参考になれば、今回の記事をSNS等で広めていただけると嬉しいです。
- アサヒです。臨床心理士・公認心理師です。
- 子育て中のお父さん・お母さんを心から尊敬しています。
- 子育て相談&発達障害支援を10年間続けています。
- 年間約1500件以上の子育て支援・相談をしています。
- 教師・保育士・小児の作業療法士がいる子育て支援一家で生活してます。
- 私自身、2人の子どもを毎日マインドフルに子育てしています。
- さまざまな専門家(小児科医・児童精神科医・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等)がいる職場で、働いているので、心理学に基づいた専門的なアプローチだけでなく、常に目の前のお子さんに合わせた多様な関り・アプローチを実践しています。
- お子さんにぴったり合った子育てをみつけてもらいたくて発信しています。
過去の事を昨日と話すお子さんの心理
1:時間の概念が曖昧
小さいお子さんが少し前の事も「昨日動物園行ったね」というのは時間の概念自体がまだ曖昧だからです。
時間の概念とは、過去や現在・未来の事です。
時計は小学校1年生の7歳で習います。
ですので時間の概念が身についてくるのも概ね7歳前後だと言われています。
ですので、保育園の頃はまだまだ、時計は読めるお子さんはいても、時間の概念はあいまいなので、このような表現になりやすいのは、当然です。
7歳ぐらいまでは、無理に「昨日じゃなくて、1か月前でしょ!」と言い直しをさせなくてもOKです(分かっていると思いつつ、意識せず、言い直しさせている事がありますね)。
時間の概念が苦手なお子さんは、小学校低学年ぐらいまでは分からない事も多いです。
小学校の高学年や中学生でもこのように話すお子さんの場合、いつまでが昔か分からないので、過去の事を「昨日」という言葉でひとくくりにされている可能性があります。
2:時間の流れる感覚が分からない
始まりや終わりがわかりにくいため、活動の切り替えができず、終わりがつくるのか分からないために不安になるお子さんもいます。
小学生になっても、このような話し方をされるお子さんは、何時何分になったのかという時計を見て時刻は分かりますが、「〇時〇分まで」といわれても、時間は目に見えない為、今行っている授業や活動がずっと続くのではないかと不安になっている可能性があります。
3:状況の理解が苦手かもしれません
時間の概念や時間が流れる感覚が分からないと、状況を理解するのが難しかったりします。
ですので、状況に関係なく過去の話題を話し始める場合があります。
伝えたい言葉かけ
お子さんが過去の事を「昨日」と話しかけたとき、普段どのように答えていますか?
このように時間にピントが合っているのではないでしょうか?
1:まずはお子さんの気持ちに共感してあげましょう
ここで重要な事は、お子さんは、「楽しかった・美味しかった」気持ちを共有したい、共感してもらいたいから話しているということです。
→ついつい、「昨日」という言葉に反応してしまいやすいですが、お子さんが伝えたい本質は、何なのかを一緒に思い出し、お子さんの気持ちに共感してあげましょう。
<例>
- 「動物園に行った時のことを思い出したんだ。楽しかったね。」
- 「あの時食べたお菓子美味しかったね。また食べたいよね。」
2:曜日や日付で伝えられるようにしていく
中々時間の概念が身につかない場合、スマホでカレンダーみせながら、
- 「〇日に行ったのが楽しかったね」
- 「日曜日に食べたお菓子が美味しかったんだね」
と伝えてあげましょう。
過去の事を昨日と言わずに、「日付や曜日で伝えればいいんだ!」とお子さんがきづけるようになるのは、お父さん・お母さんの言葉かけが大切になります。
なぜならお子さんは、お父さん・お母さんの言葉かけを基にコミュニケーションを学習しているからです。
気をつけたい言葉かけ
否定する
- 「いつのこと言ってるの?」
- 「そんなの覚えてない!」
- 「また昨日って言った!昨日じゃないって言ってるでしょ!」
→このような言葉を言われたと思うとどんな気持ちになりますか?
お子さんの本心は、楽しかったことを共有したいし、共感してほしい所にあります。
ですので、否定的な言葉かけは、お子さんが人とコミュニケーションする意欲をさげてしまうかもしれません。
「分かってもらえなかった」という気持ちが強く残ると、自己表現するのが嫌になってしまいやすくなることもありますし、気持ちを分かってもらえずパニックになってしまうお子さんもいます。
時間の概念や流れが分かるようになる関わり
カレンダーの活用
カレンダーを活用してあげましょう。
言葉だけで「〇日」「1か月前」と言われても、時間の流れが分かりにくいお子さん場合、時間を目に見える形にしてあげる必要があります。
特にコミュニケーションの場合は、スマホや紙のカレンダーを使いながら、会話をしていく、予定を書き込んでみると日付や曜日の感覚が分かりやすくなります。
あいまいな表現は大人から
→時間の概念があいまいなお子さんに「ちょっと前」、「最近」等という言葉を使わせようとしても、未就学前のお子さんにはまだ、難しいかもしれません。
このような曖昧な時間の感覚は、いずれ身につくようになると思いつつ、大人が「この前いった動物園面白かったね」「最近食べたお菓子美味しかったよね」と日常から意識的に使ってあげることで、徐々に感覚をつかめてくるお子さんもいます。
まとめ
小学校低学年ぐらいまでは、時間の感覚や流れが分からないので、言い直ししたり、無理やり教えなくてもOKです。
小学校高学年~中学生になっても続くような場合は、地道ですが、会話だけでなく、目で見て分かるようにスケジュールを利用してあげる、カレンダーを見ながら話をする等、時間を目に見える形でコミュニケーションをとってあげて下さい。
目に見えない時間が見えるようになるだけでもお子さんからすると分かりやすいですし、カレンダーで予定を立てていく習慣がみについていけます。
時間の概念や、過去の事を昨日と話す様子が変わらない場合
専門機関に相談することも大切です。
どうしてこんなに時間の概念が分からないんだろう、おかしいなあと思ったら、ご家庭だけで悩むのではまずは相談してみて下さい。
相談先については過去に記事をまとめましたので、参考にしてみて下さい。
いかがでしたでしょうか。
「小学校低学年までは仕方ないのか!」と思えるだけでも楽に思っていただけましたか?
「昨日」というワードに注目しやすいですが、お子さんの本心はお父さん・お母さんと一緒にお話がしたい!に尽きます。
時間の概念は日々のコミュニケーションで徐々に身についていきますので、まずは共感し安心して話せる環境を作ってあげましょう。
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是非あわせて読んでみて下さいね。
最後まで読んで下さりありがとうございました。