- 体が椅子からずり落ちやすい
- 膝を立てて食べる
- ひじをついて食べる
お子さんの食事中の姿勢が気になる事はありますか?
忙しいと、余裕がなくてイライラすることだってありますよね。
実は、食事中に「姿勢をよくして」と注意してもあまり効果は期待できないんです。
むしろ気を付けたいのは、姿勢を注意されて、お子さんが食事を嫌いになってしまうことなんです。
そこで、本記事では、姿勢が悪くなってしまう2つの理由について解説し、どうして、注意してもあまり効果がないのかを説明していきます。
この記事を読むとこんな事が分かります。
- 姿勢が悪くなる2つの理由
- お子さんの姿勢が良くなるのための遊び
- 食事中の姿勢をサポートしてくれる便利グッズ
「注意しても意味ないならどうしたらいいんだろう?」と思われた方、
是非最後まで読んでいただき、お家のお子さんにあった工夫や関わりを試してみて下さい。
- アサヒです。臨床心理士・公認心理師です。
- 子育て中のお父さん・お母さんを心から尊敬しています。
- 子育て相談&発達障害支援を10年間続けています。
- 年間約1500件以上の子育て支援・相談をしています。
- 教師・保育士・小児の作業療法士がいる子育て支援一家で生活してます。
- 私自身、2人の子どもを毎日マインドフルに子育てしています。
- さまざまな専門家(小児科医・児童精神科医・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等)がいる職場で、働いているので、心理学に基づいた専門的なアプローチだけでなく、常に目の前のお子さんに合わせた多様な関り・アプローチを実践しています。
- お子さんにぴったり合った子育てをみつけてもらいたくて発信しています。
食事中にお子さんの姿勢が悪くなる2つの理由
途上国の子どもたちの1対1の支援プログラム
椅子にまっすぐ座ったり、背筋を伸ばして座ったりするのが苦手なお子さんは、だらけたり、なまけたりして姿勢がくずれるわけではありません。ちゃんとした理由があります。
- 前庭感覚の刺激が入りにくい
- 体幹筋力や体力が幼い
1:前庭感覚の刺激が入りにくい
→前回の記事でもある。食事に集中できないお子さんの関わりでも紹介しました、前庭感覚ですが、姿勢にも影響を与えています。
前庭感覚は、自分の体の傾きを脳に伝えています。
前庭感覚に刺激が入りにくいと、体が傾いている感じが伝わりにくいので、無意識のうちに姿勢が崩れてしまうんです。
2:体幹筋力や体力が幼い
→姿勢保持に重要な体幹の筋肉は、重力に押しつぶされないように無意識に鍛えられます。本来であれば、重力によって体が傾いた事を前庭感覚に刺激が入る事で、体が倒れないように体幹の周りの筋肉を無意識に働かせているので良い姿勢が保てます。
ですが、前庭感覚への刺激が入りにくいお子さんの場合、その傾きを感じ取りにくいので、無意識に体幹の周りの筋肉が働かず、必要な筋肉や体力が不足して姿勢を保つ事が難しくなるんです。
このように、前庭感覚と、体幹の周辺の筋肉が相互に関係しあって、姿勢に影響を与えている場合が多いです。
意味ない!?食事中の「姿勢よくして」
結論から言うと、あまり意味はありません。
上記の理由のように、姿勢の保持は無意識に行っているからです。
さらに、食事と姿勢をよくすること、同時に二つを意識して行うのは、お子さんからすると、とても難しいんです。
大人でも姿勢よくしてねと言われると、意識している間は姿勢を保持できますが、気が付いたら、姿勢が崩れていませんか?
「姿勢よく食べる」というのは、「姿勢をよくする事」と、「食べる事」の同時2つを意識しながら、行動しなければなりません。
ですが、基本的にお子さんはどちらか一つにしか意識は向けられません。
ですので、食事中に姿勢よく食べるというのは、注意されて意識している時は良い姿勢かもしれませんが、食事に意識が向けば姿勢は元通りになってしまうのは自然の事なんです。
ですので、食事中に姿勢をよくするよう注意するのではなく、食事以外の遊びの場面で、前庭感覚に刺激を入れてあげたり、体幹周りの筋肉や体力をトレーニングしてあげたりする事で結果として姿勢がよくなっている状態を目指すのが理想的な関わりなんです。
お子さんの姿勢がよくなる遊び
- 前庭感覚に刺激を入れる遊び
- 体幹周辺の筋肉を使った遊び
前庭感覚に刺激を入れる遊び
屋内:トランポリンやバランスボールがおススメです。
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屋外:公園やアスレチックの遊具を使った遊びがおススメです。
体幹周辺の筋肉を使った遊び
体を反らす遊び
うつ伏せの状態から顔をぐっと上にあげるのが、体幹の周辺の筋肉に力が入るのでとても良いんです。
<屋内>
- トンネルくぐりや、網や紐にあたらないよう腹ばいでくぐり抜ける
- 床の上で、うつ伏せになって、両手両足を広げて飛行機のポーズ
<屋外>
- スケートボードや、荷台の上に腹ばいに乗って移動する。
- お家や公園等、滑り台で頭から滑る(大人がついていてあげて下さい)
他にも、立っているお父さん・お母さんに抱きついてしがみついたり、大人がお馬さんになって、その上で落ちないようにしがみつくのも良かったりします。
もちろん、ブランコで揺れたり、座ってすべり台をすべるでも効果はあります。
ご家庭や周囲の環境であったり、お家のお子さんのに合わせて、「前庭感覚に刺激を入れる遊び」と「体幹の周辺の筋肉を使った遊び」を取り入れてみて下さい。
食事中の姿勢保持をサポートしてくれる家具&アイテム
お子さんだけではどうすることもできない場合は、お子さんが安定しやすいように、姿勢をサポートしてくれるような家具を選んであげましょう。
以下におススメの家具&アイテムを紹介します。お子さんに合わせて試してみて下さい。
・バランスチェア
・ひじ掛けと足台のついたハイチェア
⇒心身の成長やライフスタイルの変化に対応する子どもの頃から大人になっても使える家具
→ひじかけがあると、深くこしかけることが出来ます。足が床に届かないと姿勢が安定しにくいからです。
・円座クッション
→座面が固定されやすく、おしりが動きにくくなります。
お子さんの苦手さに合わせて姿勢をサポートしてあげる事で、お子さんからしても食べこぼしなくスムーズに食事ができますし、お父さん・お母さんからしても毎回注意する回数が減るので、楽しく食事ができる機会が増えていきます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
姿勢が悪くなってしまう理由
- 前庭感覚の刺激が入りにくい
- 体幹筋力や体力が幼い
この2つが密接に関わりあっている事を解説しました。
また、姿勢=無意識の行為なので、注意をして意識している間は良い姿勢を保てても、別の事に意識がそれると、姿勢はもとにもどってしまうので、食事以外の場面で、①前庭感覚に刺激を入れる遊びや、②体幹の周辺の筋肉を使う遊び等、姿勢がよくなる遊びを取り入れる事で、結果的に姿勢をよくしていきましょうという話をしました。
そして、最後に、以上のような理由から、姿勢が悪くなってしまうのは、わざとやっているわけではないので、姿勢の保持をサポートできるような家具やアイテムとして、
- バランスチェア
- ひじ掛けと足台のついたハイチェア
- 円座クッション
このような便利グッズを使用することで、楽しく食事できる機会が増えていく事を紹介させていただきました。
というお父さん・お母さんもいらっしゃると思います。
できて当たり前だと思っていれば当然ですよね。それが悪いわけではないと思います。何を目的に食事をするのかはご家庭のスタイルによってさまざまだからです。
ですので、もし、食事中に、姿勢よく座る事を目的にするのであれば、食事量や食事のペース・食べる時間までは、お子さんも意識を向けられない場合が多いので、大目に見てあげて下さい。
逆に食事を食べてもらう事を目的にするのであれば、ある程度、姿勢が悪くなってしまうのは、本人は無意識だから仕方がないと思いつつ、今回紹介したような、姿勢をサポートしてくれるグッズを使いながら、関わってあげて下さい。
一番大切な事は、楽しく食事ができる事だと思います。食事が嫌な場所になると食べる事に興味がなくなったり、嫌いになってしまったりするからです。
子育ては、楽しい時ばかりでなく、悩み事も多いですよね。
そんな時に、「私ってよくやっているな」「子どもの事心配していて偉いな」とご自分も褒めてあげ、時には自分にご褒美もあげて下さいね。
この記事が少しでも、子育ての負担や悩みの軽減になれば嬉しいです。
最後まで読んで下さりありがとうございました。